松本清張

【読了記録】顔・白い闇/松本清張(傑作短編集だわ)

さっさ

どうも、さっさです。
松本清張の小説『顔・白い闇』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。

この記事では、短編それぞれの序盤のあらすじと感想を書いています。

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読んだきっかけ

2024年1月3日にドラマ化されると知りまして。

2夜連続で「顔」のみが1月3日。4日には「ガラスの城」が放送されます。

テレビ朝日のドラマ「顔」「ガラスの城」の公式サイトはこちらから

「顔」は30年ぶりに地上波ドラマに復活する後藤久美子が主演。

ゴクミといえば、僕の世代はF1レーサーのジャン・アレジと結婚したことや、ジャッキー・チェンの映画「シティーハンター」に出ていたことでおなじみ。

「シティハンター」はレンタルビデオで借りて何回も見たので、ゴクミはかなり深く記憶に残っています。

ドラマも楽しみですね。

それぞれの序盤のあらすじと感想

この小説は5つの短編が収録されています。それぞれの序盤のあらすじと感想を書き残します。

序盤のあらすじ

井野良吉という売れない俳優が主人公。井野の日記形式で話は進みます。

ある日、幸運にも映画会社から出演依頼が。ついにきた稼ぐチャンス。

でも井野には、たった1人、自分の顔がバレてしまうのを恐れている人物がいました。

その名は石岡貞三郎。

実は過去に人を殺してしまったことがある井野。

そこにたどり着く可能性が唯一あるのが石岡。

井野は映画には出たいものの、石岡には顔を見られたくない。

幸運か破滅か。

感想

やっぱりよくないことは暴かれるものですね。

過去に人を殺しておいて、逃げられるわけがない。

そんな教訓がよく分かる話でした。

映画の主演が決まった時の井野の頭の中はさぞグルグルしたことと思います。

「石岡にさえバレなければ、自分は人気者でお金持ちになれる」

小説では井野が石岡に接近してある企みを実行しようとしますが、思わぬ形で失敗。

そこまでの話が気になって、一気読みでした。

ドラマでは井野を武井咲が、石岡を後藤久美子が演じます。

主人公の性別や職業がそもそも違って、令和版になってかなりのアレンジが加わりそうです。

ドラマも楽しみ。

張込み

序盤のあらすじ

刑事の柚木(ゆき)は、1ヶ月前に東京で起こった殺人事件の捜査中。

犯人は捕まったものの、共犯の男・石井久一はまだ逃走中。

石井には昔仲良くしていた女がいました。もしかしたら石井は女を頼るかもしれない。

柚木はその女のいる九州に出張することに。

S市の警察に捜査協力を依頼して、女・さだ子の家を突き止めた柚木。張込みを開始します。

張込み5日目。

銀行で働く夫と3人の子供たち。どう見ても普通の家庭で、さだ子はいい妻でいい母親である、とあきらめかけた時、さだ子に動きが。

感想

ドキッとするなあ。

普通に毎日を過ごしているだけかと思いきや、裏ではちゃっかり…。

僕にはやましいことなんて1ミリもないですけど、妻がもしかしたらって思うと恐ろしいですね。

芸能界でも不倫がたまにニュースになりますけど、現実世界でも男女のもつれは日常茶飯事。

「ときめきをなくした永遠より、熱い刹那を」なんて、EXILEの歌が浮かぶなあ。

序盤のあらすじ

高橋朝子はある新聞社の電話交換手。

耳がいいのが特技で、社内の300人くらいの声はたいてい名乗らなくても電話の第1声で聞き分けられます。

ある夜、朝子は上司の依頼で電話をかけたところ、間違えて違うお宅につながってしまいます。電話に出た男性といくつかのやり取りをして電話を切ります。

夜勤明けの夕方、朝子は目覚ましに夕刊を広げると、世田谷で殺人事件のニュース。

なんとそのお宅は、朝子が昨夜間違えて電話してしまったお宅。

しかも、その時間は亡くなった奥さんしかいないとされています。

朝子は世田谷署に行って、犯人であろう男の声を聞いたと伝えます。

感想

いやあ、これも面白い。

300人の声を聞き分けれらる朝子。

たまたま犯行時間に犯人の声を聞いた、という朝子の垂れ込みで新展開する捜査。

朝子とその声の主との再会とその結末。

電話交換手って、2023年の今ではもう無いですからね。

昭和ならではの珠玉のストーリーです。

朝子が夜に「ライスカレー」を作る場面も。

じゃあ、いつから「カレーライス」になったんだろう。

地方紙を買う女

序盤のあらすじ

東京に住む潮田芳子は、わざわざ山梨県の甲信新聞を購読。

連載中の「野盗伝奇」が面白いから、という理由。

それを新聞社から聞いた「野盗伝奇」の作者・杉本隆治は、嬉しさのあまり芳子に手紙を書きました。

ところが1ヶ月ほどすると、芳子は「小説がつまらなくなりました」と、購読をやめてしまいます。

不愉快な杉本。

なぜ購読をやめたのか。

「野盗伝奇」はこれから面白くなるところなのに。

これは何か違う理由があって新聞を購読したに違いない、と杉本は独自に捜査を開始するのでした。

感想

これも「顔」と近くて、今は普通に生活しているけど、実は過去にやらかしてまして…という人の話。

芳子のミステリアスな感じと、杉本の執念が印象的でした。

結末の二転三転する感じもお見事。

僕はもう10年以上新聞の購読をしていません。内容がYahoo!ニュースと同じだし、中身のほとんどが高齢者と資産家向けの広告っていうのも、なんかイマイチだからです。「HUBLOT」の時計なんか絶対買いませんから。アイアンまで全部ウッド型のゴルフクラブセットなんて絶対買いませんから。

昼間に塾のチラシまきをしていると、ポストの中に朝刊の取り忘れがチラホラあります。ですので、体感としては新聞はまだまだ多くの家庭に届けられているのだな、と思います。

白い闇

序盤のあらすじ

信子の夫・精一は、仕事で北海道に出張すると、そのまま失踪。

精一は石炭商で、東北や北海道によく行きます。

予定より4、5日遅れて帰ってくるなんてことも、珍しくありませんでした。

ところが今回は17、18日経ってもまだ帰ってきません。

精一の従兄弟・俊一に相談する信子。

2人で精一の行方を追ううちに、隠された事情が明らかになってきます。

精一には、隠れた女がいるのです。

感想

読み終えた時の、「白い闇」というタイトルの印象的なこと!

じわーっと心に広がります。

これで最後の話になりますが、どれも男女関係のもつれ話ですね。「声」は別かな。

松本清張の小説は他にもいくつか読みましたが、男女関係がもつれたものはどれも印象的でした。『点と線』とか『ゼロの焦点』とかね。

「白い闇」は読後感の強さがピカイチ。

「白い闇」ってタイトルは一体いつ考えられたものなのか。興味深い。

序盤では「白い闇」の意味が全くわからない中、進んでいきます。

だから終盤での理解にゾクッとする感じがあります。

まとめ

いかがでしたか?

今回は松本清張の小説『顔・白い闇』の読了記録でした。

こんな面白い小説がたった¥495(Kindle版)で楽しめてしまうわけですから、安すぎます。

スマホもネットも無く、夜行列車が走る時代の話。

もちろん僕はリアルタイム世代ではありません。

でもなんか先をどんどん読みたくなる魅力が、松本清張の小説にはありますね。

映像化されている松本清張の小説を全部読むプロジェクト、発動しようかな。

もうすでにいろんなプロジェクトが発動していますが(汗)

これも加えよう。

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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