ゼロの焦点/松本清張 あらすじと感想
どうも、さっさです。
今回は松本清張の小説「ゼロの焦点」読了記録。
禎子さん、かわいそう。けれど、よくがんばった!
あらすじ
前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曾根であった!夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。
文庫本裏表紙より
新婚早々に出張先の金沢で失踪した鵜原憲一。
帰りを待っていた妻の禎子は、金沢へ向かいます。
憲一の会社の後継・本多良雄、憲一の兄・鵜原宗太郎らと憲一を探していましたが、後に2人とも遺体で発見されます。
憲一は金沢では曾根益三郎と名前を変えて生活していたことが分かります。
なぜ憲一は金沢では名前を変えていたのか?
なぜ憲一は新婚早々に自殺しなければならなかったのか?
誰が本多や宗太郎を殺害したのか?なぜ殺害したのか?
謎が謎をどんどん呼んで、ストーリーは進んでいきます。
感想
・人物の言動と禎子の思考で淡々と進む感じが良い。
心情や風景描写に余計なものがないのが松本清張の文体の特徴。味気ないと思う人もいるかもしれませんが、僕には心地良かったです。
禎子の頭の中で「なぜ?」が繰り返されます。それらの疑問点が、こちらにも「なぜなんだ?」と考えさせられるものがあって、最後まで退屈しません。
・終盤に謎が一気に解決するのが心地よい。
数々の疑問点が、禎子の粘り強い思考で一気に解決されます。
関係者が次々と死んでいきます。未解決のまま進んでいくので、「関連性は何なんだ?」と疑問がどんどん膨らんでいきます。
そんな中、色々なきっかけで禎子の推理が定まっていくところは、かなりスッキリしますね。
・戦時中の女性の記述になるほど。
「パンパン」と呼ばれる、アメリカ軍兵の夜の相手をする日本人女性たちがいました。
中学社会の歴史の教科書には載っていないことです。
この作品でポイントとなる要素です。
まとめ
いかがでしたか?
余計な描写がほとんどなく、淡々と進んでいく感じが松本清張の特徴です。僕には心地良くて仕方ないですね。
新婚早々に夫が失踪するって、禎子さんは気の毒すぎます。
でも、よくがんばりました!
それでは、また。