【読了記録】命の砦/五十嵐貴久(新宿地下街で火災発生。迫る大爆発の危機。)
どうも、さっさです。
五十嵐貴久の小説『命の砦』を読みました。
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消防士の神谷夏美が活躍するシリーズ3作目。
1作目「炎の塔」の読了記録はこちらから↓
2作目「波濤の城」の読了記録はこちらから↓
あらすじ
大勢の人で賑わうクリスマスイブの新宿。通称“ギンイチ”こと銀座第一消防署の消防士・神谷夏美は恋人や同僚らが待つ店へと急いでいた。ところが、新宿地下街・サンズロードで火災発生との通報が入り、ギンイチにも特命出場の指令が出る。夏美らは管轄の消防署とともに消火作業を開始するが、地下街は延焼が拡大し人々は大パニック、出入り口は黒煙で封鎖され、負傷者が続出する。さらに地下街の特設ブースに陳列された電化製品にマグネシウムが含まれていることが判明。マグネシウムに火が燃え移り爆発すれば新宿駅近辺は壊滅、何万人もの死傷者が出る。絶対絶命のギンイチは、ある秘策を打ち立て地下へ潜るが…。何があっても必ず市民の命を守る―消防士・神谷夏美シリーズ三部作、完結!焔に呑まれるダンジョンで闘う戦士を描く、ノンストップ・パニック小説!
「BOOK」データベースより
夏美は恋人の折原、先輩消防士・柳雅代とイブに新宿地下街で待ち合わせ。そこには1作目「炎の塔」で難を逃れた秋絵も、松葉杖で来ていました。ちなみに「炎の塔」では秋絵の恋人(?)が大活躍しました。まだ読んでいない人はぜひ。
秋絵はこれから消防士として働くことを報告。雅代には「厳しい世界」と釘を刺されますが、読者としては嬉しい展開。
一方で世の中なんてどうでもいい、という連中が新宿地下街で自爆テロを企んでいて、ついに最初の爆発が起きてしまうのでした。
松葉杖の秋絵を連れて、無事に脱出することができるのでしょうか…。
新たな学び、マグネシウム。
車のハンドル、銀の松葉杖、車椅子、パソコン、スマホ、タブレット、ゲーム機に使われているマグネシウム。
融点(固体から液体になる温度)は650℃と高温。しかも軽くて丈夫なので、上記のようなものに使われています。
ところが火災が発生して、650℃を超えてしまうと、水で火を消そうとしたら余計燃え上がって爆発してしまうそうです。
これを「マグネシウム火災」と呼んでいます。
消防士は現場が工場だったりすると、マグネシウムがそこにあるかどうか確認します。あれば水は使わずに、グラファイト(炭素系)、フラックス(塩素系)という専用の消化剤を使うことで、延焼部分から酸素を奪い、鎮火を待つのです。
この本の現場では、家電量販店や携帯電話・ゲーム機メーカー各社共催のセールが開催されていて、合計1トンものマグネシウムがある設定。天井に付いているスプリンクラーが火災をひどくさせてしまう可能性があるのです。
2014年、東京の金属加工工場で火災が発生したとき、管理者がマグネシウムの取り扱いを届けていなかったため、消防士が放水したところ爆発、炎上した例があります。鎮火までに約38時間が費やされましたが、その間、消防は何もできなかったのです。この火災では、約80kgのマグネシウムがありました。このわずかな量で、約1300㎡の工場が全焼したのです。
作中の新宿地下街には1トンのマグネシウムが分散しています。マグネシウム火災が起きて、爆発が続けば、新宿駅そのものが焼失します。そして、消化の手段はないのです。
恐ろしい…
まとめ
今回は五十嵐貴久の小説『命の砦』読了記録でした。
もういくつも小説を呼んでいると、今回の「マグネシウム」みたいに、内容での感動よりも新しい発見の方が印象に残ります。ストーリーは大体想像できますからね。何らかの犠牲がありながらも、どうせ最後はハッピーエンドです。
40歳にもなれば、そんな感じなんでしょうか。なんだか寂しい気もしますが、しょうがないですね。
これでシリーズ3作を全て読み終えました。この『命の砦』だけはまだ文庫化、電子化されていませんが、待たずに単行本を買うのも全然ありです。
それでは、また。