「さいえんす?」[東野圭吾](珍しいよ。エッセーだもん)
どうも、さっさです。
今回は東野圭吾のエッセー「さいえんす?」
2005年12月25日発行。
いつものミステリー小説ではなく、エッセーなんです。
「ダイヤモンドLOOP」「本の旅人」に掲載された連載を収録したものです。
2021年2月に読み終えて、この記事を書いています。
この2つの…雑誌ですかね?気になって検索してみたら、どちらももう存在しないものでした。残念。
内容は「男女の距離感」から始まります。男は遠く、女の方が近いらしいです。
だから、男は女の人が近くに来ただけで「こいつ、俺に気があるな」と勘違いしてしまうんですって。
気をつけましょうね汗
著者紹介 東野圭吾
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。エンジニアとして勤務しながら、85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞。
BOOK著者紹介情報より
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作品が一気にチェックできます。
グッとくるところ3選
擬似コミュニケーションの罠
インターネットの掲示板を例にして、人と接する上で必要な「良識や常識」について考えます。
出会い系サイトの入会者の男女比は9:1。
つまり、ほとんどが男だということです。
出会い系サイトに関連する刑事事件が増えているのは、生身のコミュニケーションが足りないからです。
心理学でパーソナルゾーンという言葉があります。
自分の心理的領地エリア。
この範囲に他人が入ってくると、人は緊張を覚えるといいます。
男性の場合は1〜2メートル。
女性の場合は数10センチもないそうです。
男性は少しそばに寄ってきただけで相手を意識しますが、女性はたいして気にしないということになります。
ヤクザや不良少年がオラオラという感じで歩くのも、パーソナルゾーンに人が入ってくるのを警戒しているためだといわれています。
男女の距離感を学ぶには、数多くの生身の人間と付き合う以外にありません。
失敗して、トレーニングするのです。
男女の差を学ぶのは、とても大事なことですね。
男性は勘違いしやすいもの。
そんな男性や、その点に苦労している女性も多いのではないでしょうか。
科学技術はミステリを変えたか
科学技術の進歩で、ミステリが大きく変わったことは間違いありません。
その代表格が、携帯電話の普及です。
固定電話を使ったトリックは、以前のミステリ小説ではよく使われていました。
今は書かれた時代を考慮して読む必要があります。
カメラについても同様のことが言えます。
電話と同じように、写真のトリックを使った作品も数多く存在します。
しかし、デジタルカメラやスマホの普及で、写真の加工が簡単にできるようになりました。
写真をアリバイ工作に使うという発想自体、読者に受け入れられにくくなる恐れがあります。
交通機関の発達も、ミステリにとって無視できない出来事です。
電車をどんなに効率よく乗り継いでも、5時間以上かかるとする。
新幹線の開通で3時間で行けてしまう、となれば、もうその原稿はボツにするしかありません。
ミステリというのは、普通の小説と違って、大なり小なり人の動かし方が計算されています。
大事な人物とすれ違ったり、連絡を取れない状況に追いやったり、登場人物に予期せぬアクシデントを与えるのです。
しかし携帯電話の登場は、その作業をひどく面倒なものにしてしまいました。
作家が現実を追い越し、小説中で新犯罪を予見した、というケースは極めて稀です。
警察と同様、犯罪が起きて初めて「ああ、その手があったか」と気付かされることがほとんどです。
新犯罪を考案できる人が小説を書いたなら、さぞかし面白いものができるだろう、と不謹慎なことを考えてしまいます。
警察や作家が新犯罪を予見するのは難しいのですね。
事件を未然に防ぐというのは、どうやら難しそうです。
数学は何のため?
「容疑者Xの献身」の執筆取材のため、明治大学数学科の増田教授にお会いしました。
「子供の頃から数学が好きだったんですよ」
ただこれだけで、数学者になりました。
ところがこの国では、数学の地位が低い。
軽視されている印象を持っている人は決して少なくないはずです。
数学を軽視しながら、技術大国を目指しているのですから、馬鹿げています。
まるで種をまかずに花だけ咲かそうとするようなものです。
「数学なんて、何のために勉強すんの?」
親や教師が子供にこうやって聞かれたら、どう答えればいいのか。
東野さんの答えは2つ。
1 数学とは科学や経済における問題解決のための道具である。
どんな道具があるのかを学んでおかなければ、それらに関わる仕事をした時、無駄な遠回りをすることになる。
米はあっても炊飯器の存在を知らなければ、飯を炊くのに苦労するようなものだ。
微分、積分、三角関数、全て道具である。
2 人類の発展のためには数学の進歩も不可欠である。
誰かが研究し、そのレベルを高めて行かなければならない。
しかし、数学の才能を持つ人間を見つけるのは難しい。
本人でさえも気づかない場合がある。
だから全員に数学をやらせてみて、ふるいにかける必要があるのだ。
世界にはまだ解決されていない数学の問題がいくつもある。
「数学の問題について、自分で考えて答えを見つけるのと、他人から答えを聞いて、その答えが正しいかどうかを確認するのとでは、どちらが易しいか」
「なぜ学ぶのか」って誰もが1度は考えたことがありますよね。
東野さんの考え方には共感できます。
最後の問題は、前者の方が易しいと思います。
自分から取り組んでいますからね。
いや、後者でも例えばキレイな女性から聞いたものを検証して、後で結果を伝える約束をしていたら、めちゃくちゃがんばりますよね。
うーむ。答えは出ない。
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まとめ
いかがでしたか。
今回は珍しくエッセーでした。
著者自身の言葉や考えに触れるのは、いい機会ですね。
今後読む小説が、グングン入ってきそうな感じがします。
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