【読書記録】ノクツドウライオウ/佐藤まどか
どうも、さっさです。
今回は小説『ノクツドウライオウ』の読書記録です。
この本は青少年読書感想文全国コンクールの課題図書(中学校の部)でもあります。応募する人は、よかったら参考にしてください。
あらすじと感想
高いビルの間にちょこんとはさまっている小さな建物。
くすんだ色のレンガ造りのこの店は、築100年のオーダーメイド靴店「往来堂」だ。
店主は、靴職人の祖父。孫の夏希は、シューズデザイナーを夢見る中学生で祖父を尊敬していた。ある日、店の後を継ぐはずの兄が突然いなくなり、店は危機的状況となった。
夏希は後を継ぐべきか悩める日々を過ごす。そんな中、この店の土地を買い取りたいという土地開発会社の人たちが来た。祖父は、その内の1人の靴をみて足に合っていない靴を履いていると指摘する。その人は、どんな靴も合わないのであきらめていると話した。祖父が助言すると、その人は靴を注文することになった。
でき上がった靴を渡してまもなく、その人が来店して言った。
「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした……」これらのいきさつを見ていた夏希は、自分の向かう道をさだめていく。
シューズデザイナーを夢見る中学生をさわやかに描いた青春ドラマ!Amazon商品ページより
まず気になるのがタイトルの「ノクツドウライオウ」。
これは店の看板に書かれているもの。店名の「靴の往来堂」を右から左に読むようにデザインされた昔のものでした。関東大震災で建物は全焼して建て直されていますが、看板は無傷だったということです。
シューズデザイナーになりたい夏希は、履いてくれる人を想像すると、デザインを考えるのが楽しくなると言います。服やバッグ次第で靴も変わるという感じですね。
そういえば僕、高校生の時にスニーカーのことで悩んでいたのを思い出しました。
憧れはコンバース。なんかカッコよかった。でもコンバースは底が薄くて、すぐに足が痛くなってしまってダメでした。
次の候補はアディダス。でもアディダスの靴は甲が低いのが難点。甲を優先して大きいサイズにすると今度はブカブカ。やっぱりダメでした。
結局バンズの真っ赤な靴を、納得はしていない感じで長い間履いていました。
自分に合う靴探しって難しいです。
夏希の祖父が「お客さんの顔を一度も見ないような仕事はやりたくない」という場面があります。オーダーメイドをやめて、もう少し大量生産をできるようにしたら?と夏希が提案するところですね。3Dプリンターを使ったり、ネット上だけのやり取りで靴が作れる店もあるみたいです。
この祖父の気持ち、分かるなあ。僕も塾で授業をしていますが、やっぱり対面がいい。
「先生の授業面白いから動画を撮ってYouTubeに置いておけばいいのに」と生徒たちに言われます。でも、どこの誰か分からない人に授業をすることに、僕は興味ありません。やっぱり生徒あっての自分だと思います。
僕が泣いたシーンがありました。
常連のお客さんである水の夫妻。旦那さんが亡くなってしまいました。履いていた靴の底を直して通夜で履かせたい、という奥様からの依頼でした。それが、最後のおしゃれ。
無料で修理する祖父、作中ではマエストロ(イタリア語で師匠)と呼ばれていますが、その姿に泣けました。
実はその直った靴を撮りにきたのが、佐野宗太。夏希がクラスで嫌っている男子です。
ここから宗太が靴職人になりたいと、夏希のところにちょいちょいやってくることになります。
ここからの2人の軽口の言い合いなんかは、僕には懐かしかったです。中学生当時を思い出します。
ここからはネタバレを防ぎますが、夏希と宗太の関係がどうなるのか、靴職人としてどこまで成長できるか、といったことが胸熱で描かれます。
個人的にはなんで宗太が夏希に冷たいというか、ぶっきらぼうな態度をとっているのかというのが分かった時に、「そりゃそうなるよな〜」と同情しました。
まとめ
いかがでしたか?
今回は小説『ノクツドウライオウ』の読書記録でした。
いい本です。1500円(税抜)ですが、僕には映画1本分以上の価値がありました。
去った兄や土地の買い取りのことはほどほどで、夏希と宗太の話がメイン。
まさしく「さわやかに描いた青春ドラマ」でした。
それでは、また。