【読了記録】テスカトリポカ/佐藤究(麻薬と暴力と臓器ビジネス。非日常!)
どうも、さっさです。
今回は佐藤究の小説「テスカトリポカ」ネタバレ無しの読了記録。
「このミス2022」国内編第2位の作品です。
麻薬・暴力・臓器ビジネス。
非日常への旅が楽しい。そんな作品です。
あらすじ
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
「BOOK」データベースより
メキシコ、ジャカルタ、麻薬、臓器、アステカ王国。
初めて過ぎる組み合わせにワクワク。
読む前に気になってしまう「テスカトリポカ」の意味は?
メキシコ神話の神。大熊座の神であり,夜空の神であり,アステカ民族の神殿に祀られた主要な神の一つである。赤,青,白,黒の4兄弟神があり,それぞれテスカトリポカと呼ばれるが,黒神が特にこの名で呼ばれ,北の方位の神とされている。眼には見えず,夜,ねこの姿をかりて徘徊する。また火の発明者,太陽神,強酒の発見者などともいわれ,人間のいけにえを求めたともいわれる。
ブリタニカ国際大百科事典より
メキシコ神話の神様なんですね。
4兄弟で、特に黒いのが「テスカトリポカ」と呼ばれ、人間のいけにえを求めた、と。
う〜ん、どう関係してくるのでしょうか?
臓器とかいけにえが絡むと、話としては「人間なんだから、神様に近付こうとしないでよー」とか「組織や政府が秘密裏に優秀なクローン人間か強化人間を作ろうとしている」いうのがありがちですが、さあ果たして。
感想
・圧倒されるスタート。
メキシコからアメリカへの不法入国者数は年間で2000万人。人々は出口のない貧しさから抜け出すために、国境を目指し続けています。メキシコで生まれたルシア(17歳)もできたらそうしたかった、と。
ルシアの生まれたシナロア州クリアカン(実在する都市)にはカルテルが町に君臨して、麻薬、暴力と恐怖が渦巻いていました。コカインを売りさばいて巨額の利益をあげているのです。
アメリカへは仲介人に多額のお金を払って入国しなければいけません。無理だと思ったルシアは、南を目指して、トラックの荷台に紛れ込むのでした・・・。
スケールのデカさ。
アパートの一室や河原で死体が発見される定番の推理ものとは、違いますね。
・新たなお酒との出会い「メスカル」
日本にたどり着いたルシアが飲んでいたお酒「メスカル」
リュウゼツラン科の植物を原料にした蒸留酒、テキーラですね。
いつも飲んでいるウイスキーの4倍の値段!
初めて知りました。
一応貼っておきます↓
・ルシアが産んだ土方コシモ、独特過ぎる生い立ち!
小学生の時にランドセルを川に捨ててから、学校へ行かなくなりました。13歳になってもアナログ時計が読めません。父親はヤクザで、母親は覚醒剤を打っていて育児放棄。自分の名前の漢字が「小霜」であることを警察の取り調べ室で初めて知りました。
ついてない。ただ運がない。
・非日常への誘いが心地良い!
麻薬に暴力、臓器移植。非日常への誘いは楽しかったです。長めの作品ですが、終盤は読み進めるのが惜しくなりました。もっとコシモのことを見ていたい。そんな気持ちになりました。