【読了記録】OUT/桐野夏生(確かにOUTな人たち)
どうも、さっさです。
桐野夏生の小説『OUT』を読みました。
ネタバレ無しの読了記録です。
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読んだきっかけ
Twitterで他の人の読了ツイートを見たのがきっかけです。
タイムラインで色々見ている中で、ピンときたものを読んでいますが、『OUT』はきましたね。
初めて桐野夏生の小説を読みました。「夏生」は「なつき」と思っていたら、「なつお」でした。元グラドル・岡本夏生の影響ですね(汗)
ただ、電子書籍化していないのは残念。久しぶりに紙の本で買いました。
後で知ったのですが、「このミステリーがすごい!」1998年国内編第1位の作品です。
「このミス」の西暦は翌年のものになるので、97年度の12月発表です。…中3じゃないか。まあ当時知ったところで読みはしなかったかなあ。『スラムダンク』の最終回で満足していましたね。
あらすじと感想
『OUT 上』のあらすじ↓
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから脱け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点。
「BOOK」データベースより
『OUT 下』のあらすじ↓
主婦ら四人の結束は、友情からだけではなく、負の力によるものだった。その結びつきは容易に解け、バランスを欠いていく。しかし動き出した歯車は止まることなく、ついに第二の死体解体を請け負うはめになる。彼女たちはこの現実にどう折り合いをつけるのか。大きな話題を呼んだクライム・ノベルの金字塔。
「BOOK」データベースより
評価 ☆☆☆☆★(星4つ)
主婦ら4人。雅子、ヨシエ、邦子、弥生。みんなお金が無くて、なんとか食いつないでいる状況。
深夜の弁当工場で0時〜5時半まで「カレー弁当 1200食」、「特製幕の内弁当 2000食」など、ひたすら弁当を作り続けています。4人は仲良しで、チームになって働いています。
昼間に8時間働くよりも、短くて時給のいい深夜のパートをしている女たち。
雅子には愛想を尽かし尽かされた夫と、口をきかない息子。
ヨシエには介護が必要な姑と言うことを聞かない娘。
邦子はお金がないのにゴルフ(ドイツ産の車)に乗っちゃう見栄っ張り。そしてだらしない旦那。
弥生には暴力夫と小さな息子2人。
みんな家庭で事情を抱えて、ただお金が必要だからと、きつい深夜労働に励んでいました。
ある日、弥生が暴力夫にお腹をパンチされて、怒りが沸点を越えます。仕返しにベルトで首を絞めて殺してしまいました。
雅子たちはその死体をバラバラにして、分担して処分します。
弥生は何十万円というお金を、雅子たちに払います。
ところが、邦子が面倒くさがって目立つ公園のゴミ箱に捨ててしまったことから、事件発覚。警察が動く事態になってしまいます。
ここまででも十分面白そうなのですが、もうひと展開あります。
殺された暴力夫はその晩に、バカラをやる賭博のお店で散財。しかも態度が悪く、店のオーナーの佐竹(元ヤクザ)に殴られて退席しています。
警察は佐竹の元を訪れ、「あの晩、被害者と揉み合いになったところを目撃した人がいましてね」と、佐竹を連行、勾留。
濡れ衣を着せられた佐竹は納得がいきません。
勾留が明けてから、事件の真相を解明し始めます。
そして、ついに弥生たち4人にたどり着く佐竹……。
果たして4人は捜査を続ける警察と佐竹から逃れられるのか。また、死体を解体した者たちのその後の人間模様とは?
これが『OUT』を最後まで一気読みさせる面白さです。
いやあ、久しぶりに寝床での読書で興奮して、眠れなくなってしまいました。
まとめ
いかがでしたか?
今回は桐野夏生の小説『OUT』の読了記録でした。
確かに「OUT」な人たちによる人間模様は、最後まで目が離せませんでした。
終盤から結末にかけての悲壮感、走り切った後なのにまだ続いて欲しい感じ。
宮部みゆきの『火車』に似た読後感と思いました。
星5つじゃなくて4つなのは、泣きはしなかったからです。
泣けるかどうかを判断基準から外せばダントツで星5ですよ。
最近の僕は小説を読みすぎた結果、普通のミステリーに飽きていて、ハードボイルド(暴力や性行為が出てくるお話)が好きということは付け加えておきます。
それでは、また。