呉勝浩

【読了記録】爆弾/呉勝浩(爆弾魔にこちらの心も壊されそうになる)

さっさ

どうも、さっさです。
呉勝浩の小説『爆弾』を読みました。
ネタバレ無しの忘備録です。

発行 2022年4月20日
読了 2022年7月11日

2022年12月5日発売の『このミステリーがすごい!』2023年版で、国内編第1位の小説です。

うん、納得。

そもそも直木賞もこれが受賞すれば良かったと思っています。

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読んだきっかけ

2022年、第167回直木賞の候補作だったからです。

本屋大賞候補の10冊の中には、正直読んでいて面白くないものがありました。それらの小説はやはり下位になっていましたね。

直木賞候補の5冊はどうかな?という試みを今回はやります。

この『爆弾』が1作目になります。

結果、超オススメの小説です。

あらすじと感想

東京、炎上。正義は、守れるのか。

些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。

Amazon商品ページより

爆弾魔、スズキタゴサク。

秋葉原の爆発を予言し、実際に廃ビルが爆発します。

「霊感」

と、スズキは言います。

取調べの担当を替えて、強引に自白を引き出そうとしても、スズキはなかなか落ちません。

作中では70%以上を読んでも、真相に向かう気配が見えません。

スズキは取調べでの会話を楽しんでいて、その間にも次々と爆破事件が起こります。

スズキのしぶとさ、ふてぶてしさ。

恥もプライドも失うものも無い。

そんな容疑者の取調べは、困難を極めます。

もう何を言っても通じない。

こんな人間がいるのか、と世の中を悲観したくなってしまいます。

ただ、そんな取調べの場面から、重要なテーマが浮かび上がってきます。

命の選別と正義。

スズキは取調べの中で、命の優先順位の話を持ち出します。

話を聞いていると、

「自分にとって大事では無い人の命は、大事な人の命よりも下に見てしまうかもしれない」

そんな風に思わされます。

例えばスズキが死ねばいい。爆弾での犠牲者は多少は出てしまうだろうが、やむを得ない。爆弾騒ぎで避難した人から、ちょっと文句を言われて「あなたが爆弾の犠牲になればいい」と思ってしまう。こんな風に考える警察たちが、作中では描かれています。

本来、命に優先順位はありません。

もちろん富と権力の違いはありますが、それと命は別の問題です。

でもこの小説を読んでいると、知らない間に命の選別を考えてしまっている自分に気付かされます。

スズキの話からこちらの心の闇が暴かれ、続発する爆弾事件にこちらの心も壊されそうになります。

まとめ

今回は呉勝浩の小説『爆弾』の読了記録でした。

「命の選別と正義」という重要なテーマを考えることができました。(東野圭吾『パラドックス13』でも考えましたね。泣きました。)

もちろん、ミステリーとしても面白いです。

なかなか真相にたどり着けないのですが、分かった時にはスッキリします。

これが直木賞でも全然おかしくありません。「このミス」国内編第1位なのは納得です。

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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