【読了記録】鏡じかけの夢/秋吉理香子(不思議な鏡で夢が叶います。)
どうも、さっさです。
秋吉理香子の小説『鏡じかけの夢』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。
発行 2018年5月22日
読了 2022年8月3日
2022年8月11日までKindle版で買うと、50%のポイント還元がありますよ。
読んだきっかけ
『絶対正義』、『サイレンス』をきっかけに秋吉ワールドの虜になりました。
以来、秋吉作品の全制覇を目指して読んでいます。
これであと2冊になりました。
あらすじと感想
ヴェネツィアから流れ着いた一枚の鏡。その鏡は持ち主の願いを現実のものにすると言い伝えられていた。脳病院に身を置く奥様と看護婦、昔気質な鏡研ぎ職人と美青年、人気舞台女優と財界の黒幕。禁断の鏡に魅入られた人々に訪れる、運命の行く末とは。戦前から終戦直後を舞台に、狂瀾の愛憎劇が幕を開ける。トラウマ絶対不可避。残酷で甘美なる連作短編集。
「BOOK」データベースより
鏡を軸にして、人の心の闇を描いた5つの短編集。時代と場所は違えど、思うことはみな同じ。そう思わされます。
ベストオブゾワゾワは「泣きぼくろの鏡」。最初のやつです。
脳病院に身を置く奥様と看護婦の話。やっと願いが叶ったと思ったら、まさかのどんでん返し。
『サイレンス』で感じたようなゾワゾワを、久しぶりに感じました。
秋吉理香子自身は、優しいお姉様という見た目をしています。
でも小説では恐ろしい話を書きます。
このギャップが秋吉理香子の特徴ですね。
他にも鏡を通じて、悲哀に満ちた話が続きます。
全部「世にも奇妙な物語」とか「笑ゥせぇるすまん」でやってほしい。
結局「願い」って、願いすぎてはダメなんですよね。
頭の中の理想が全て叶ってしまうというのは、罰や痛み、犠牲が伴うものなんだと、この小説に教えられます。
今できることを1つずつやっていく。できないことはあまり望まない、無理しない。
これがうまく生きるコツなんです。
まとめ
今回は秋吉理香子の小説『鏡じかけの夢』の読了記録でした。
「夢」や「欲」、「執念」や「闇」。
言わずとも誰もが抱えるものがある心の中を、見事に描いています。
「願い」は行動のパワーになりますので、大事なものです。
でも、例えば楽してお金持ちになりたい、ライバルの不調を願って代わりに自分がのし上がりたい、といったことはやっぱり願うだけ無駄であると思います。
やっぱり小説というのは、読んでいて楽しくて、かつ我が身を振り返って考えさせられるものがある、というのがいいですね。
それでは、また。