【読了記録】サイレンス/秋吉理香子(新潟の島での奇妙な物語。)
どうも、さっさです。
今回は秋吉理香子の小説「サイレンス」読了記録。ネタバレ無し。
あらすじ
深雪は婚約者の俊亜貴を連れ故郷の雪之島を訪れる。結婚をしてありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に…。この島、何かがおかしい―。人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
「BOOK」データベースより
深雪は新潟県雪之島出身。島には学校が1つしかなく、小中学校が一緒になっています。
高校は本土に渡り、週末は島に帰るという生活をしています。
島には病院もスーパーもコンビニもありません。人口300人の小さな島です。
深雪は島では評判の美少女。たまに本土に遊びにいけば、道ゆく人が振り返りました。中学2年生の時に、アイドルオーディションで新潟県代表になり、最終選考に進む予定でした。
ところが父親は猛反対。東京の大手プロダクションの須磨がわざわざ島に交渉に来てくれましたが、深雪の東京行きは無くなってしまいました。
その後、東京の大学に合格し上京。大学に通いながらダンススクールの研修生として過ごします。ですが、大学卒業までにタレントとして食べていくという目標は叶いませんでした。
須磨が自分のプロダクションを立ち上げることを聞いた深雪は、アイドルのマネージャーとして東京ででの再出発が始まりました。
働き始めて5年目の夏、大手広告代理店に勤める俊亜貴と出会います。
「食事でも行こうよ」
「良かったら付き合ってください」
アイドルになる夢が叶わずに、今ではアイドルに神経を使い、こき使われる生活。アイドルを送り届けた帰りに嗚咽することも。そんな深雪には、東京出身でアイドルたちを使いこなしている俊亜貴と一緒にいることは、大きななぐさめになったのです。
「一緒にわたしの実家に行ってほしいの」
深雪は俊亜貴を連れて、3年ぶりに雪之島に帰ることを提案。深雪はもう34歳。俊亜貴は38歳。俊亜貴には結婚する気がまだないようですが、深雪は真剣でした。
そして片道7時間かけて、東京から雪之島へ。
結婚の挨拶で、俊亜貴は深雪の父親に冷たくされるわ、深雪のいとこには探偵を使って借金があることを調べられてしまうわで、彼にとって散々な渡航となります。
また本家・分家の人間関係がまだ色濃く残っており、俊亜貴には違和感が拭えませんでした。
我慢の限界に達した俊亜貴は、東京に戻ろうと、深雪に黙って家を出ます。
深雪の幼なじみである達也がフェリー場まで送り届けたのですが、俊亜貴とは深雪も東京の会社の人間も、誰も連絡が取れなくなってしまいました。…何かがおかしい。
まとめ
俊亜貴が行方不明になった後の展開も気になりますが、本家・分家といった田舎の風習や、島ならではの人間関係にも注目してしまう作品です。こういうもんなのでしょうかね。
「しまたまさま」という霊的な要素もあって、俊亜貴の行方不明にどう関係しているかが気になるところ。
この作品にはいわゆる解決編がありません。俊亜貴が行方不明になった経緯は最後まで読んでも、しっかりと書かれていません。
「え〜、どうなってんのお」と余韻が心地いいです。
秋吉作品は「絶対正義」に続いて2作目でした。
個人的には東野圭吾・宮部みゆきと同じくらい内容がグイグイ入ってきます。心地よい読後感があります。
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