自省録/マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子訳(皇帝のつぶやきが面白い)
どうも、さっさです。
今回はマルクス・アウレーリウスの「自省録」読了記録。
え、誰?
ローマ帝国の皇帝です。
在位は161年〜180年。五賢帝の最後の皇帝とされています。
異民族の侵入に苦しんで、多くの時間を遠征先で過ごし、亡くなりました。
哲学をよく学んでいて「哲人皇帝」と呼ばれています。
高校で世界史を履修していればマルクス・アウレリウス・アントニヌスって習いますよね。その人ですよ。
どんな内容?
一言で言うと「皇帝のつぶやき」
人間関係の考え方や、学び、生きる上での心構えなど、寝る前に思ったことをノートに書きつづったのがこの本。
この1冊の中で12巻に分けられていますが、構成らしい構成はなく、内容の違いはありません。
行き当たりばったりに記されているところが、他の本にはなく斬新です。
ですから読者は狙った項目を読めません。
でもそこがいい。
適当に開いたページにはほぼ必ず金言があります。
毎朝どこかのページを読んでから出かけると、もっといい1日になるかもしれません。
この本から学べること
思い起こせ、君はどれほど前からこれらのことを延期しているか、またいくたび神々から機会を与えて頂いておきながらこれを利用しなかったか。しかし今こそ自覚しなくてはならない、君がいかなる宇宙の一部分であるか、その宇宙のいかなる支配者の放射物であるかということを。そして君には一定の時の制限が加えられており、その時を用いて心に光明をとり入れないなら、時は過ぎ去り、君も過ぎ去り、機会は2度と再び君のものとならないであろうことを。
第2巻 四
人生は短い。機会を逃すな。ということですね。皇帝は短期間に多くの決断をしなければいけません。決断に疲れている心境が伺えます。
公益を目的とするのでないかぎり、他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな。なぜならばそうすることによって君は他の仕事をする機会を失うのだ。すなわち、だれそれはなにをしているだろう、とか、なぜとか、なにをして、なにを考え、なにを企んでいるかとか、こんなことが君を呆然とさせ、自己の内なる指導理性を注意深く見守る妨げとなるのだ。
第3巻 四
他人についての判断をやめることは重要ですね。他人は変えられませんから。皇帝の周りには金と権力に飢えた、うっとうしい人はたくさんいたでしょうね。
すべて自然にかなう言動は君にふさわしいものと考えるべし。その結果生ずる他人の批評や言葉のために横道にそれるな。もしいったりしたりするのが善いことなら、それが自分にとってふさわしくないことなどと思ってはならない。他人はそれぞれ自分自身の指導理性を持っていて、自分自身の衝動に従っているのだ。君はそんなことにはわき目もふらずにまっすぐ君の道を行き、自分自身の自然と宇宙の自然とに従うがよい。この2つのものの道は1つなのだから。
第5巻 三
他人が言うことに惑わされるな、ということですね。
自分の道が決まっていることが前提ですが、決まっているのなら誰がなんと言おうと、進み続けなくてはいけません。
まとめ
いかがでしたか?
ローマ帝国の皇帝といえば、「世界で一番の権力を誇っていて困ることなんて何もない。むしろ色々思い通りにできていいなー」なんて考えてしまいます。
でもそんな人ですら色々悩んでいて、しかも現代人に通じるところがたくさんあることが分かります。
人の悩みは古代から2000年間変わっていません。
既に同じ悩みを大昔に考えてくれている人がいるのです。参考にしないわけにはいきませんね。
ちなみにマルクス・アウレーリウスは、同じくストア派の奴隷哲学者エピクテトスの思想を受け継いでいます。
「自省録」を読んだ後に、他にも何かないかな、と調べるとだいたい行き着く本です↑元奴隷の哲学者の言葉は興味深いですよ。