スマホ脳/アンデシュ・ハンセン(親と教育関係者の必読書。)
どうも、さっさです。
今回はアンデシュ・ハンセンの著書「スマホ脳」の読了記録。
親と教育関係者の必読書です。
もちろん10代や20代にも読んで欲しい良本ですが、おそらく読んだところで対処できません。脳がそういう風にできているからです。
さっさ的結論:勉強する時は、通知オフで別室に置いておくべし。
スマホは我々の脳をハッキングしたと言っても過言ではありません。通知が来たら素早く反応し、SNSに投稿したら「いいね」が付くのを心待ちにし、何もなくても「何かないかなー」と開いてしまいます。スマホは脳の仕組みをうまく利用していて、人間が調節できるレベルを超えています。
電車に乗れば、9割の人がスマホを触っています。
スウェーデンでは若者の5人に1人が、起きている間はずっとスマホを見ていて、大人の9人に1人が睡眠導入剤を飲んでいるそうです。
しかもこれらのデータは2013年頃のもの。
こういう研究は公開までに4〜5年かかるそうです
ですから2021年のデータを知りたければ、もっと先になるとのこと。
当然2013年よりも、スマホを触っている時間、スマホによる睡眠や健康、学生の成績への影響は大きくなっていると考えられます。
この本から学べること
・「火災報知器の原則」を覚えておく
脳は何かあると「闘争か逃走か」を判断しています。
狩猟・採集時代は物音がすると敏感に反応して、対処してきました。小動物が通っただけのこともあれば、ヘビやクモなどが襲ってきたこともあるでしょう。
こうした反応は扁桃体によるもので、「火災報知器の原則」と呼ばれています。
何もない時にも脳はすぐに反応できるように、スタンバイしているわけです。
スマホはその状態をうまく利用しています。
通知があればすぐに反応するだけではなく、SNSへの投稿に早く「いいね」がつかないかな、とソワソワしながら待つ状態も当てはまります。
メンタルやパフォーマンス改善をするには、通知はできるだけオフにして、SNSに投稿しても「いいね」待ちをしないことです。
・スマホは最新のドラッグである
スマホは人間の行動を促すドーパミンの分泌がうまいです。
脳は新しいものが好きで、ネットサーフィンをすれば次から次へとページを進めます。今見ているページよりも次のページのことを考えてしまうこともあります。
「もしかしたら」大事な連絡が来ているかもしれない。SNSで重要な更新があるかもしれない。ゲームのガチャでいいのが出るかもしれない。「もしかしたら」がスマホを欲させます。
スマホやSNSアプリを開発した人たちは、後悔しています。「なんてものを作ってしまったんだ…」
・電子書籍vs「普通の」本
Kindleであればブルーライトが出ていないので、「寝る前の読書はKindleで」という人もいます。
しかし、「光る画面」がスマホを連想させて、結果的に集中力が散ったり、興奮して寝るのが遅くなってしまうことがあると、アンデシュは考えています。
うーん、Kindleユーザーとしては悩ましい…
・Facebookが人生の満足度を下げる
日本ではTwitterやInstagram、LINEも当てはまります。
特に他の人の投稿を見てばかりの人が、他者比較で苦しみ、人生の満足度が下がっています。珍しいバカンスや、高級グルメの写真を見ているだけで自己嫌悪に陥るのです。
10代女子は要注意。容姿端麗な女性の投稿を見て、自分の容姿・体型に自信が無くなる人が多いです。
他にもネットサーフィンやゲーム、動画もついやりすぎたり、あれこれ考えて睡眠・健康に支障をきたすことがあります。
・子供のスマホ依存はどうしようもない
前頭葉は衝動に歯止めをかける役割をしています。夜食は日中の食事より脂質を蓄えやすいから、目の前のポテトチップスは明日にしよう、という感じです。
前頭葉が育つのは25〜30歳と言われています。10代のうちは「こういうリスクがあるからやめておこう」という脳内の声はほとんど無口なわけです。
スウェーデンでは11歳の98%が自分のスマホを持っていますが、ほぼ全員が欲望のままにスマホをいっぱい触っています。親が取り上げれば、喧嘩や議論が果てしなく続きます。
改善するためには?
・自分のスマホの利用時間を知ろう。
・目覚まし時計と腕時計を買おう。
・プッシュ通知は全てオフにしよう。
・職場ではチャットやメールチェックの時間を決めよう。
・寝るときは寝室にスマホを置かないようにしよう。
・SNSは積極的に交流したいと思う人だけをフォローしよう。
まとめ
塾ではスマホの影響で成績が下がったり、不登校になってしまったりする子を実際に見てきました。
なんとかならないかと、スマホとの上手な付き合い方を模索してきました。
しかし、スマホは人間の脳をハッキングしていると言ってよく、対処法がないデバイスであることが分かりました。
勉強や仕事で明らかにパフォーマンスが落ちているとか、睡眠時間が短い、よく眠れない、寝ても翌朝回復している感じがしない、といったことがあればスマホの影響が大きいです。
なんとかするには遠ざけるしかありません。
中学生のテストでは、スマホを遠ざけることも実力のうちになります。もうそういう時代なのかもしれません。