ビジネス・自己啓発

「武器になる哲学」[山口周](哲学で思考を鍛える)

さっさ

どうも、さっさです。
今回は山口周の著書「武器になる哲学

哲学というと「実世界では使えない教養」と捉えられてきたが、それは誤解。実際は、ビジネスパーソンが「クリティカルシンキング」つまり現状のシステムへの批判精神を持つために、重要な示唆をくれる学問である。本書では、“無知の知”“ロゴス・エトス・パトス”“悪の陳腐さ”“反脆弱性”など50のコンセプトを、ビジネスパーソン向けの新しい視点で解説。現役で活躍する経営コンサルだから書けた「哲学の使い方」がわかる1冊。

Amazonより

哲学はちょっと遠い存在のように思えますが、30代以降なら突入しても大丈夫だと思います。

これまでの人生経験と照らし合わせて「そうそう、そうなんだよね」と思考が前に進みます。

そうすると、

「えっ、古代ローマでも今と状況同じじゃん」

なんて思えたら、もう哲学にハマっています。

ずっと昔にも同じ悩みや思考をしていた人がいて、その答えをわざわざ書き残してくれているのです。これは使わないともったいないですよね。

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この本から学べること

なぜビジネスパーソンが「哲学」を学ぶべきなのか?

①状況を正確に洞察する。

「…よくそんなこと思いつきましたね」

哲学や心理学や経済学のコンセプトを、目の前の状況に当てはめて考えてみると、「これって、もしかしたらこういうことなんじゃないですか?」と、霧が晴れるように物事の見通しが良くなることがあります。

哲学を学ぶことの最大の効用は、「いま、目の前で何が起きているのか」を深く洞察するためのヒントを数多く手に入れられるということです。

ゼロから改善策を考えているわけではないんですね。哲学を学んでおけば、ビジネスの現場でも応用ができるというわけです。

②批判的思考のツボを学ぶ

哲学の歴史は、そのままそれまでに世の中で言われてきたことに対する批判的考察の歴史です。

哲学者が問いに向き合う。問いの答えが説得力を持てば、しばらくの間はそれが世の中の定番になります。しかしそのうち、時代が変化し、定番となった回答にも粗が見えてきます。すると新しい哲学者が批判し、別の回答を提案します。哲学の歴史はそのような「提案→批判→再提案」という流れで出来上がっているわけです。

ビジネスでもまた批判的思考が求められます。

企業は英語でゴーイングコンサーンと言います。「永続することを前提にした組織」ということですが、重要なのは「環境の変化」に対して「企業が永続する」という点。つまり、企業というのは「どんどん変化していく」ことが前提となっているのです。

当たり前のように思われるかもしれませんが、「変化」には必ず「否定」がくっついてくるので、日本の企業ではなかなか浸透しないです。「古い考え方」をいかに捨てられるか、がポイント。現場で言う・言わないは置いておいて、批判的な思考をしておくことは大切です。

③アジェンダを定める。

アジェンダは「課題」のこと。

イノベーションの起点となる「課題」を定めることは大切です。どうすれば「課題設定能力」を高めることができるのか。鍵は「教養」ということになります。なぜなら、目の前の現実から「課題」を汲み取るためには、「常識を相対化する」ことが不可欠だからです。

「ここがヘンだよ、日本人」というTV番組があります。日本人にとって当たり前の習慣が、外国人にとっては奇妙に思えること、そしてそういった指摘によって日本人もまた「言われてみれば確かにそうだ」と共感しますよね。地理的な空間、歴史的な時間の広がりを知っていればいるほど、目の前の状況を相対化できるようになる、ということです。

知的戦闘力を最大化する50のキーコンセプトから厳選

ロゴス・エトス・パトス 論理だけでは人は動かない。アリストテレス

アリストテレス(紀元前384〜紀元前322)
古代ギリシアの哲学者。プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンとともに、しばしば西洋最大の哲学者の1人とされ、その多岐にわたる自然研究の業績から、「万学の祖」と呼ばれる。

本書より

人の行動を変えさせようと思うのであれば、「説得よりは納得、納得よりは共感」が求められます。論理によって人が動くと誤解している人は、人間関係で苦労することになります。

「ロゴス」はロジック、論理のことです。論理だけで人を説得することは難しいとはいうものの、論理的にめちゃくちゃだと思われることに賛同を得ることは難しいでしょう。論理は必要条件であって、十分条件ではない、ということです。

「エトス」は倫理のこと。いくら理にかなっていても、道徳的に正しいと思えることでなければ、人のエネルギーを引き出すことはできません。その点を訴えて人の心を動かすことが有効だと、アリストテレスは説いています。

「パトス」とはパッション、情熱のことです。思い入れを持って熱っぽく語ることで、初めて人は共感します。

リーダーや上司として、メンバーを奮い立たせることは大事です。しかし、一方的な弁論に対して、双方向の対話も大事。うまく使い分けたいですね。

無知の知。学びは「もう知ってるから」と思った瞬間に停滞する。ソクラテス

ソクラテス(紀元前469〜紀元前399)
古代ギリシアの哲学者。デルポイで受けた「ソクラテス以上の賢者はいない」という神託を反証するため、様々な賢者と対話を繰り返した。しかし、対話を繰り返すうちに、それらの賢者は自分の話すら完全には理解していないことに気づき、やがてそれら「知者を気取る者の無知」を暴くことをライフワークとするようになった。

本書より

無知の知というのは「知らないということを知っている」ということ。なぜこれが重要かというと、「自分は知らないのだ」という認識を持つと、学習がスタートするからです。

「分かっている」と思ってしまっては、知的に怠惰になってしまいます。「分かっていない」と思うから調べたり、人に話を聞いたりするのです。

「要は○○でしょ」とまとめてしまいたくなった時は要注意。そうすることで新たな気づきや発見が失われてしまう可能性があります。

本当に分かって成長するためには、安易に「分かった」と思うことを、もう少し戒めてみてもいいのではないでしょうか。

人はどうしても「これってこういうことでしょ」とまとめたくなります。大事なことですが、あまりにやりすぎると、知的好奇心が失われてしまいます。ちょっとでも引っかかりがあれば、すぐに調べたり人に聞いたりしたいものです。

悪の陳腐さ。悪事は思考停止した「凡人」によってなされる。ハンナ・アーレント

ハンナ・アーレント(1906〜1975)
アメリカの政治学者、評論家、政治思想家、哲学者。ドイツに産まれたがユダヤ人であったため、ナチス政権成立後にパリに亡命、後にアメリカに亡命し、シカゴ大学教授を歴任。ナチズム、スターリニズムなどの全体主義国家の歴史的位置と意味の分析をし、現代社会の精神的危機を考察した。

本書より

「悪とは、システムを無批判に受け入れることである」と、アーレントはまとめています。その上で、「陳腐」という言葉を使って、「システムを受け入れる悪」は、我々の誰もが犯すことになってもおかしくないのだ、としています。

多くの人は、既に決まったシステムの中で日常生活や仕事をしています。しかし、その中でどれだけの人が、システムの持つ危険性を考えたり、システムに批判的な態度を取ったりしているでしょうか。

多くの人は、現行のシステムの悪いところを考えるよりも、システムの中でうまくやることをつい考えてしまいがちです。

システムをより良いものに変えられないか、と「システムを批判的に思考する」ことも大事なのではないか。アーレントはそのように訴えているのです。

「慣れ」は良くも悪くもあります。もし現行のシステムで違和感があったら、大事にしたほうがいいかもしれません。

まとめ

いかがでしたか。

哲学を身につければ、今の生活がより良くなります。人間共通の悩みを既に誰かが考えて答えを出してくれているのですから、参考にしなきゃもったいないですよね。

「哲学」ってとっつきにくい、と思っていたら、この本を読むことからスタートしてはどうでしょうか。

他にも、
・ タブラ・ラサ 「生まれつき」などない、経験次第で人はどうにでもなる
・ペルソナ 私たちは、皆「仮面」を被って生きている
・他者の顔 「わかりあえない人」こそが、学びや気づきを与えてくれる

など、偉人たちから暮らしのヒントがたくさん詰まっています。気になったらぜひチェックしてみてください。

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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