「殺人の門」[東野圭吾]あらすじ (うん、そりゃ越えてしまう。)
どうも、さっさです。
今回は東野圭吾の小説「殺人の門」ネタバレ無し。
2003年8月単行本、2006年6月25日文庫本発行。
あらすじ
「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。でも、私には殺すことができないのだ。殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なのだろうか?人が人を殺すという行為は如何なることか。直木賞作家が描く、「憎悪」と「殺意」の一大叙事詩。
文庫本裏表紙より
主人公の田島和幸が、小学生の頃からの知り合いである倉持修を殺したいけど、殺せない。殺人の門というものがあるとするなら、それをなかなか越えられない。そんな葛藤が文庫本だと600ページずっと続きます。
小学生から中学生、高校生、社会人へと物語は続きます。
田島和幸が小学生の時、祖母が亡くなりました。和幸が殺人に関心を持ち始めたのは、これがきっかけです。
母親とは仲が悪く、祖母を毒殺したのではないかという疑惑がありました。
和幸は、倉持修と知り合ったことで、どんどん不幸になっていきます。
小学生の時、賭け五目並べで小遣いをたくさん使わされます。
高校1年生の時の初恋の相手、バイト先で知り合った江尻陽子を倉持に取られます。挙げ句、陽子は自殺してしまいます。
その後も仕事で詐欺まがいのことに協力させられたり、後の結婚相手を紹介してもらうも夫婦生活がうまくいかなかったり。
和幸は事あるごとに倉持を殺そうと思います。
しかし、いざ倉持と会うと、巧みな話術で殺そうという気持ちが萎えてしまうのです。
なぜ殺せないのか?
殺人者になるために欠けているものは何なのか?
和幸は苦悩し続けます。
まとめ
東野圭吾の小説にハズレはありません。
中でも、この「殺人の門」は大当たり。
カネ・女・殺意といった人間の奥深いところを考えるのに、こんなに適した小説はありません。
この作品には大仕掛けのミステリーはありません。派手なものはありません。でも何かは起きていて、つい気になって最後まで読んでしまいます。ここが東野圭吾の巧さですね。
「手紙」や「容疑者Xの献身」にも似たようなところがあります。
田島和幸が倉持修にずっと振り回されて、殺意を募らせていくところ。ぜひ読んで欲しい作品です。