【読了記録】雪虫/堂場瞬一(鳴沢了シリーズ始動)
どうも、さっさです。
堂場瞬一の小説『雪虫』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。
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あらすじと感想
俺は刑事に生まれたんだ―祖父・父を継いで新潟県警捜査一課の刑事となった鳴沢了は、晩秋の湯沢で刺殺された老女が、かつて宗教団体の教祖で、五十年前の殺人事件に関わっていたことを突き止めた。了は二つの事件の関連を確信するが、捜査本部長の父はなぜか了を事件から遠ざけるのだった。正義は、真実を覆い隠すのか?
「BOOK」データベースより
新潟県で始まり、そのまま新潟県で完結する珍しい警察小説。
「なじらね?」(調子はどうですか?)
「おめさん」(お前さん)
「知ってるろ?」(知ってるよね?)
「〜だすけ」(〜だから)
と、作中で新潟弁が踊ります。
湯沢での殺人事件発生をきっかけに、魚沼、新潟駅周辺や豊栄の地名も出てきます。県民にはたまらない小説ではないでしょうか。「万代シティ」なんて他県民には分かりませんからね。
新潟の郷土料理「のっぺ」も出てきます。
なんで愛知県民の僕がこんなことをスラスラ書けるかというと、妻が新潟県民だからです。盆や正月にはよく妻の帰省について行ってお世話になりました。
お義父さんはそうでもありませんが、お義母さんと話していると新潟弁が頻繁に出てきます。
その印象でいくと、作中の表現がめちゃくちゃしっくりくるんですよね。
ただ、「だすけ」は「だっけ」で話している印象があり、同じ新潟県内でも言葉に違いがあるようです。
そういえば「山を1つ越えたらもう言葉が違う」と、以前お義父さんがおっしゃっていました。
さて、主人公の鳴沢了。
どストレートな正義感が特徴で、遺体を見て吐いた入って半年の新人に「遺体を見て吐くなんて失礼だろ」と、いきなり率直な指導をします。
署長である父、元刑事の祖父と、親子3代で刑事をやっているのが特徴的なんですが、そんな父や祖父と話すときでも、了はハッキリとした物言いを貫きます。
この辺りは同じく堂場瞬一の小説に登場する澤村慶司と似ています。やっぱり小説の主人公刑事というのは、ブレない正義感の持ち主という設定がいいのかもしれません。
殺されたのは「本間あさ」というおばあちゃん。調べると昔は宗教団体の教祖であったことが判明。
50年前の殺人事件にも関わっていた本間あさ。了は関連があるとして調べますが、父に深入りしないように、と釘を刺されます。
それでも、突き進んだ了がたどり着いた真実とは?というのがこの小説のメインストーリー。
これだけでも十分面白いですが、やっぱり新潟弁、風景や料理と新潟県ならではのものが出てくるところが特徴的。
このシリーズ、全部で11冊あるようですが、調べたらずっと新潟県でストーリーが展開されるわけではないようです。次巻で了は東京の警視庁勤務となります。うーん、ちょっと拍子抜け。
また、忘れては行けないのが了の中学生の時に好きだった女性・喜美恵との絡み。
お互いに29歳となって久々の再会を果たし、それなりに進展があります。
喜美恵は銀行員になっていて、生活に男っ気がないという、了にとっては絶好の状況なんです。
殺人事件の捜査で泥臭いハードボイルド的な雰囲気の中で、ホッとなる瞬間です。
この様子は読んでいると、過去のことが思い出されてなんだかくすぐったい。
「中学時代に可愛かったあの子、元気かな」的なことが当てはまる読者は、みんなくすぐったいはずです。僕は一瞬、殺人事件の捜査のことがどっかいっちゃいました(笑)。
まとめ
いかがでしたか?
今回は堂場瞬一の小説『雪虫』の読了記録でした。
土地鑑がある小説っていいですね。風景が浮かびますし、言葉や料理も思い出されます。
ミルクボーイの漫才で「滋賀県」というネタがあるのですが、面白いんですよ。YouTubeのコメントを見てると県民も納得しているようです。
それと同じように、いろんな都道府県の警察小説が読みたくなります。県民ならみんな見たいはず。
とはいえ、このシリーズは全部読もうかな。
真っ直ぐな男、鳴沢了をもっと見てみたいです。
それでは、また。