雫井脩介

【読了記録】クロコダイル・ティアーズ/雫井脩介(家族と疑惑と。)

さっさ

どうも、さっさです。
雫井脩介の小説『クロコダイル・ティアーズ』を読みました。
ネタバレ無しの忘備録です。

この小説はKindle版で購入し、Kindle Oasisで読みました。

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読んだ経緯

第168回(2023年1月)直木賞候補なので、読みました。

前回までの数回は候補作を全部読んでいました。

でも、毎回どうしても面白くない作品があって、勉強だと思いつつも読んでいる時があまりにも苦痛で退屈。挙げ句、一番面白くないと思ったものが受賞することがあって、意気消沈。全作品を読むのはやめました。

犯罪小説が好きで調べたら、この小説1択でした。

ちなみに…。

著者の雫井脩介は映画化された『検察側の罪人』で知りました。抜群の面白さ。小説『検察側の罪人』も読みました。映画と小説の違いを楽しむのも面白い作品です。

火の粉』も読みました。面白い。

犯罪小説好きには、マッチし過ぎる作家さんですね。

あらすじ

この美しき妻は、夫の殺害を企んだのか。
息子を殺害した犯人は、嫁である想代子(そよこ)のかつての恋人。被告となった男は、裁判で「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張する。犯人の一言で、残された家族の間に、疑念が広がってしまう。

「息子を殺したのは、あの子よ」
「馬鹿を言うな。俺たちは家族じゃないか」

未亡人となった想代子を疑う母親・暁美(あけみ)と、信じたい父親・貞彦
家族にまつわる「疑心暗鬼の闇」を描く、静謐で濃密なサスペンスが誕生!

Amazon商品ページより

想代子の旦那・康平(こうへい)が、隈本(くまもと)という男性に刺殺されました。

裁判所で閉廷が告げられますが、隈本が去り際に「想代子から『夫殺し』を依頼された」と主張。

判決は出ているので、再捜査は行われませんが、暁美の中では疑念が残ります。

想代子は陶磁器店である貞彦の家を去らずに、そのまま住み、店で若女将として働くことにします。

暁美は疑念が残ったまま想代子と接しているため、どこかぎこちない。想代子が台所に立ったり、店のことを精力的にやったりするのが面白くありません。

親族に相談したり、隈本にわざわざ会いに行ったりして独自に調べを進めるものの、なかなか真相にたどり着けません。

そしてついに、怪我人が出てしまいます。

果たして、想代子の夫殺しの真相とは…。

評価

☆☆☆☆★(星4)

想代子の内面が全く描かれずに、暁美の心中描写がメインで進んでいくのが特徴。途中でアクシデントもあり、謎が謎のままのストーリー展開。

終盤まで真相は不明のままで、周囲の人々の言動で推理していくしかありません。

これが心地いい。

想代子の言動は、暁美のように疑うこともできますし、貞彦のように信じることもできます。

家族といえども、温かい部分ばかりではないことが、僕にはいい警鐘となっています。

ただ。

この展開の仕方は東野圭吾の小説『白夜行』、『幻夜』で経験済み。この2作でも、ヒロインの内面は全く描かれないまま進行しました。

想代子にまつわる疑念とも信頼とも取りようがあるストーリー展開はお見事でしたが、「以前似たようなものを読んだ」ということから、星1つ減らしました。

直木賞を取るかどうか。

選考委員が「これ、『白夜行』のリプレイじゃない?」ってなってしまったら、「展開は見事だが、どこか既視感があった」なんて評され、受賞を逃すかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたか?

今回は雫井脩介の小説『クロコダイル・ティアーズ』の読了記録でした。

タイトルの日本語訳は「ワニの涙」。ワニは獲物を目の前にすると、泣きながら攻撃するそうです。

読後に表紙を眺めると、読む前に比べて味わい深くなります。

「そうか。ワニの涙か…」

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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