【読了記録】虚ろな十字架/東野圭吾(死刑制度から考える真の罰とは?)
どうも、さっさです。
東野圭吾の小説『虚ろな十字架』を読みました。
文庫本の発行が2017年5月20日。
読了日は2022年4月12日。
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読んだきっかけ
東野作品全制覇計画が進行中です。
本棚にずらりと並べた東野作品も徐々に減って来ました。
この本で99冊中87冊読みました。あと少しですね。
あらすじと感想
中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた―。
「BOOK」データベースより
中原道正。こんな不運な男を他に知りません。
一人娘を殺され、離婚。数年後に元妻の小夜子も殺されてしまいます。
道正は小夜子の両親に話を聞くうちに、小夜子がフリーライターをしていて、死刑制度廃止反対の立場で取材を重ね、原稿を書いていることを知ります。
死刑が執行されたところで、死んだ人が生き返るわけでもなく、被害者遺族の悲しみが晴れることはない。唯一の事実は、死刑後は犯人がもう誰も殺さないことだけ。
小夜子の取材、執筆に熱心な様子に胸を打たれる道正。同時に読んでいるこちらも頭を悩まされます。
いやあ、スッキリしない。結論が出ない。
殺人犯への刑として、死刑は最大のもの。ですが、被害者遺族からしたら、亡くなった人は生き返らないし、犯人には生きたままもっと苦しんで、罪を償ってほしいのが本当のところ。
同じ東野作品で映画やWOWOWドラマにもなった『さまよう刃』。
娘を殺された父親が犯人を探し出して復讐する話でした。道正も心情としては近いものがあって、犯人を苦しめたい思いがあるはずです。
さまよう刃の読了記事はこちらから↓
死刑なり復讐なりで目的を達成したとしても、残るのは虚しさだけ…
でも死刑に代わる同等の刑が浮かばない。
たとえ裁判で死刑を勝ち取ったとしても、被害者遺族としては100%の納得ができない。
まあ、結論の出ないことですから無理に考えることはありません。
ですが、命の重みを考えるきっかけとして、この本はいいきっかけになります。
オススメです。
また、「虚ろな十字架」というタイトルが、作中でセリフとして2回登場します。これは東野作品では珍しいですね。