【読了記録】あの頃の誰か/東野圭吾(「秘密」の原型「さよなら『お父さん』」他全8作品の短編集)
どうも、さっさです。
東野圭吾の小説「あの頃の誰か」を読みました。
あらすじと感想
メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に躍っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれれない誰かの物語。名作『秘密』の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録。
「BOOK」データベースより
・シャレードがいっぱい
メッシー、アッシー…と上にある時代背景で起こる殺人事件。遺産相続が絡んでいます。
この本の中でいちばんページ数が使われています。39歳の僕にはピンときませんでしたが、バブル期に思い出が濃い人には、懐かしい雰囲気を楽しめるのではないでしょうか。
・レイコと玲子
男性が公衆電話の中で、女性にナイフで刺されて亡くなります。この女性、記憶喪失なんです。
・再生魔術の女(個人的イチオシ!)
中尾章代という中年婦人は、諸事情で実の親に育ててもらえない赤ちゃんの引き取り手を世話しています。
根岸峰和、千鶴夫妻は中尾章代に頼んで、養子を見つけたのでした。
章代が話があるということで、千鶴を先に帰し、峰和だけ話を聞くことにしました。
章代の口から出てきたのは…。
この本の中で一番の衝撃でした。
・さよなら『お父さん』
名作「秘密」の原型となったお話です。
妻と娘の帰りを待つ夫・平介。帰りの飛行機で事故が発生。娘は助かり、妻は亡くなってしまいました。ところが、気がついた娘の口調は妻のもの。体は娘、中身は妻という女との生活が始まります。
個人的には「秘密」を先に見た方がいいですね。この短編はいわばダイジェスト版ですから。
男性読者は平介と一緒にぜひモヤモヤしてほしいです。
・名探偵退場
老探偵のワイク、ワトソン役のマーシュのお話。
老いているがゆえに、サクッと解決とはいかないところに面白さがあります。
ホームズやポアロが好きな人なら間違いなく楽しめます。
・女も虎も
「女も虎も」という言葉だけ与えられて、それぞれの作家が何かを書く、という企画で書かれたもの。
牢屋に入れられた真之介。罪人は3つの扉の前に立たされて、どれかを選ばなければいけません。絶世の美女か、人喰い虎がいます。最後の1つは開けてからのお楽しみ。刑務官の説明それだけでした。
果たして真之介が引き当てるのは…。
・眠りたい死にたくない
ユカリさんとのデート。レストランを出てからの記憶がありません。頭が重い、立っているのが億劫…。この男性には何が起こっているのでしょうか。
・二十年目の約束
村上照彦・亜沙子夫妻には子供がいません。照彦のこだわりで子供を作らないことにしていたのです。しばらくはよかったのですが、亜沙子は「せめて子供がいれば」と段々思うようになっていきました。
ある日、照彦は山梨にいる清水宏一という幼なじみに会いにいくことに。居ても立ってもいられない亜沙子は内緒でついていくことにしたのでした。
なぜ照彦は子供を作らないことにしたのでしょうか。