堂場瞬一

【読了記録】異境/堂場瞬一(新聞記者と女性刑事が失踪事件を追う)

さっさ

どうも、さっさです。
堂場瞬一の小説『異境』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。

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読んだきっかけ

暗転』、『逸脱』と読んで、堂場瞬一のファンになりました。

堂場さんは海外ミステリーが好きで、いろんな作品でその影響が現れています。

これは他の作家ではなかなか見られません。

読書端末はKindle Oasisを使っています。

小説が目的でKindle Unlimitedに加入しています。

あらすじと感想

上司との対立から本社社会部を追われた新聞記者甲斐。横浜支局に着任早々、失踪した後輩の行方を追う気の乗らない仕事を命じられる。スクープを掴んでいたらしい彼の足跡を辿るうちに県警の腐敗した内情と謎の外国人犯罪集団の存在に行きつく。情報の核を握っているらしい美貌の女性刑事翔子は信用できる人物なのかスパイなのか―。甲斐の孤独な闘いが始まった。作家生活10周年の渾身作。

「BOOK」データベースより

とがった新聞記者・甲斐昭仁。

上司に逆らったせいで、本社から横浜支局に飛ばされてしまいます。

(「甲斐昭仁」という名前を見て、ハンドボールの日本代表ゴールキーパーと同姓同名だと気付きました。そっちの甲斐さんはただただ名選手。作中の甲斐とは雰囲気が全然違います。小説の人物が実在する誰かと同姓同名なのは初めてです。驚き。)

美貌の女性刑事・浅羽翔子と連携しながら、失踪した後輩記者・二階を追います。

そして、独自に捜査を進めるうちに、県警の腐敗と外国人犯罪者集団の存在に行きつくというのが、メインの流れ。

うーん、なんか淡々と進んでいきました。

この小説の前に『逸脱』を読みました。

そこでも上司に逆らいがちな主人公がいたので、新鮮味には欠けましたね。読む順番が悪かったです。ただ、『逸脱』の方は刑事で、こちらは新聞記者ですが。

新聞記者の失踪事件を重たい雰囲気でジワジワと追いかけるのですが、最初から最後までしっかり重たかったです。

まあ、これが堂場瞬一の持ち味と思います。

ただ、この小説についてはもう少しユーモアと、翔子に色気が欲しかったところ。

文庫本では甲斐と翔子がコンビで事件を追いかけるように、あらすじ紹介がされていますが、これは間違いですね。作中ではコンビ感がありません。

甲斐にとって必要な時だけ情報提供をしに出てくるような感じでした。

甲斐のとがり具合がちょっと度を越えています。もし僕が甲斐の上司なら「早くどっかに飛ばしてくれ」と人事部にかけ合いますね。

こんな気性の荒い人が、よく大手新聞社の本社で勤務できたな、と怪しんでしまいます。採用時に見抜けなかったのかなあ。見た目とか言葉遣いで。

小説ってSFでもない限り、日常から離れすぎるとよくないんですよね。途端に魅力が失われてしまいます。

翔子にもう少し隙があればなあ。色気はないし、ヘビースモーカーだし、甲斐とはいつまでも距離が縮まりません。ヒロインとしては弱い。

あえてですかね。そこをいじってしまうと、全体の雰囲気が軽くなってしまいますからね。

最後まで重たい雰囲気で貫くのが、この小説の正解かもしれません。

僕は今41歳。あと10年早く読みたかったのが正直なところ。

10年前なら甲斐をもう少しノリよく応援できたと思います。

でも、今では上司とか管理職目線で何でも見るようになってしましまいました。若い人から見ると、ずいぶん感情が死んでいるように見えるかもしれません。

ですので甲斐のような破天荒な部下を見ると、どうも批判的なところが先に出てきてしまっていけません。

小説は本当に読む時期によって感じ方が変わりますね。

もしさらに10年後に再読したら、甲斐の言動が嫌すぎて序盤で読むのをやめてしまうかもしれません(笑)。

まとめ

いかがでしたか?

今回は堂場瞬一の小説『異境』の読了記録でした。

この小説について批判的なことも書いてしまいましたが、いい小説ですよ。

だって、読むことで色々考えさせられるわけですから。

自分の感覚の変化に気付いたり、これまでの人生を振り返ったり。

甲斐や翔子なんて、今までに出会ったことがないキャラクターで、とてもいい勉強になります。

ストーリーは王道中の王道で、少しのブレも無く、余計な寄り道もありません。

僕はこのまま、堂場さんの小説を読み続けます。

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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