中山七里

【読了記録】セイレーンの懺悔/中山七里(報道関係者は必読と思います)

さっさ

どうも、さっさです。
中山七里の小説『セイレーンの懺悔」を読みました。
ネタバレ無しの読了記録です。

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WOWOWでドラマ化されています↓

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読んだきっかけ

Kindle Unlimitedで小説を探していて、たどり着きました。

音楽が絡む小説は正直イマイチです。ですが、『護られなかった者たちへ』をはじめ、社会派ミステリーになると面白い。

そういう信頼でポチりました。

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あらすじと感想

不祥事で番組存続の危機に陥った帝都テレビ「アフタヌーンJAPAN」。配属二年目の朝倉多香美は、里谷太一と起死回生のスクープを狙う。そんな折、葛飾区で女子高生誘拐事件が発生。被害者は東良ひがしら綾香、身代金は一億円。報道協定の下、警察を尾行した多香美は廃工場で顔を焼かれた綾香の遺体を目撃する。綾香がいじめられていたという証言で浮かぶ少年少女のグループ。主犯格の少女は小学生レイプ事件の犠牲者だった。マスコミは被害者の不幸を娯楽にする怪物なのか―葛藤の中で多香美が辿り着く衝撃の真実とは。報道のタブーに切り込む緊迫のミステリー。

「BOOK」データベースより

評価 ☆☆☆☆★(星4)

報道の意義を考えさせられます。

誘拐事件の取材でスクープを狙う多香美と里谷。

ところが、手柄を焦って誤報をテレビで流してしまいます。

そこから、物語はとんでもないうねりを見せます。

「君たちは不安や不幸を拡大再生産している」

事件の担当刑事・宮藤くどう(基本マスコミには否定的なスタンス)にそう言われた多香美は涙し、崩れ落ちます。

実際、犯人ではない人を犯人扱いしてしまったことで、大きな影響が出てしまうのです。

事件や汚職、紛争などの事実を国民に伝え、不正を正したり、正しさを問うたり。

マスコミの仕事は本来、有意義なもののはず。

でも、事件や事故、芸能人のスキャンダル、政治家の汚職など、別にわざわざ掘らなくてもいい他人の不幸を食い物にしている、という言い方ができてしまうのも事実。

入社2年目の多香美は、誘拐事件の取材を進めるうちに、自分の職業観に自信が持てなくなってしまいます。

他の仕事でも同じですよね。要領がある程度分かってくると、仕事がルーティーン化してしまう。マスコミでいえば、他人の不幸探しとか聞かれたくないことや言われたくないことを人にぶつけることを、人の気持ちを考えることなくやってしまうようになる。保身や出世のために、失敗は他人のせいにして、手柄は自分のものとする。

多香美の先輩である里谷は言います。

「どんな商売でもそうだろうが、その道に進もうとしたきっかけや動機に立ち戻ってみる。」

業界の常識に洗脳されていない駆け出しの頃。自分がその仕事を通して何を実現したかったのか。それを思い出すだけで、案外霧は晴れていくということ。

里谷、いいこと言うじゃん。

多香美は途中で心を入れ替え、事件の真相を改めて解明しようと動き出します。

驚きの結末が待っていることは、中山作品の読者なら想定内のことと思います。

まとめ

いかがでしたか?

今回は中山七里の小説『セイレーンの懺悔』の読了記録でした。

この小説は、多香美の成長を追うと共に、報道の意義を考えさせられる良作と思います。

自分の仕事での振る舞いを振り返る、いいきっかけになりました。

それでは、また。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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