【読了記録】鎌倉うずまき案内所/青山美智子(心ほぐれる6つのやさしい物語。)
どうも、さっさです。
青山美智子の小説『鎌倉うずまき案内所』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。
発行 2019年7月12日
文庫化 2021年4月7日
読了 2022年6月8日
読んだきっかけ
本屋大賞2022第2位の『赤と青のエスキース』を読んだのがきっかけで、青山ワールドに没入。(さっさ的1位はこれでした。)
Wikiだと青山美智子の小説は7冊あって、『鎌倉うずまき案内所』は3冊目です。
『赤と青のエスキース』をはじめ、青山作品はWikiの掲載順に4冊読んできました。
ミステリー小説みたいに、誰も死ぬことがありません。
日常生活の少し延長したところに不思議があるような話が青山美智子の小説の特徴です。
またこれが心地いいんです。
いろんな家庭環境、職業の人の人生を追体験できるのはお得過ぎ。
40歳になった今だからこそ、「うんうん」と分かるところがあるのかもしれません。
でも、例えば10代や20代で青山作品に出会えていたら、その後の人生を左右するくらいの影響力があると思います。
電車やバスに乗ったときに、つい人のことを観察してしまう人なんか、人間に興味がありありなはずですから、青山作品はきっとハマりますよ。
あらすじと感想
古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。螺旋階段を下りた先には、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて…。「はぐれましたか?」会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。いつしか40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成時代を6年ごとにさかのぼりながら、6人の悩める人びとが「気づくこと」でやさしく強くなっていく―。うずまきが巻き起こす、ほんの少しの奇跡の物語。
「BOOK」データベースより
2019年からスタートして、1989年まで6つの物語があります。
その年代で流行っていたものがちょいちょい登場するのが、40歳の僕の心をくすぐります。
それぞれの物語もしっかりしていて、ちゃんと心がほぐれます。
気に入ったのは「会社を辞めたい20代男子」、「ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親」、「売れない劇団の脚本家」、「古書店の店主」。
6分の4!
この本は面白い。
それぞれの話に出てくる人物の悩みや不安が、とても共感できます。(「古書店の店主」とマーちゃんのくだりなんか、今後実際にありそう……)
哀愁→双子のじいさんとアンモナイトによるご案内→劇的な変化。
こんな流れで6つとも進んでいきます。
途中から「あ、また案内所に迷い込むよ。じいさん達のダジャレ大会が始まるよ。アンモナイトの不思議なご案内あるよ」と予想ができるのも分かりやすくていい。
また、この小説には「黒祖ロイド」という小説家が登場します。
2019年に登場したこの人は、1989年の話まで登場します。だんだん若返っていく黒祖ロイドを見ているのも面白い。「あ、こういう人だったんだ」と印象的です。
この本はしばらく本棚に置いておきたい名作。
気になった話をもう1度読むのもよし。
黒祖ロイドのところだけもう1度読むのもよし。
何回読んでも心がほぐれる、『鎌倉うずまき案内所』。
ごちそうさまでした。またいただくかもしれません。
それでは、また。