誉田哲也

国境事変/誉田哲也

さっさ

どうも、さっさです。
小説『国境事変』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。

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あらすじと感想

新宿で在日朝鮮人会社社長が殺害された。被害者を内偵中だった公安外事二課は、密かに捜査を開始。だが、事件背後の不審な人脈を手繰っていた捜査一課の東警部補が、彼らの前に現れる――。CIAも血眼で行方を追う「アイアン」とは何か。激しく対立する刑事と公安の男たち。国境の島・対馬で彼らを待つ恐るべき真実とは。〈解説〉宇田川拓也

Amazon商品ページより

ジウ3部作に続く4作目。でも前作までで活躍したヒロインである門倉や伊崎は出てきません。門倉と相棒だった東を軸にして話は進んでいきます。

まずここをどう思うかでこの小説の評価は分かれます。

僕としては門倉の純粋な恋愛と、伊崎のストレートなエロがこのシリーズの大きな魅力でして、それがない今作はいささか拍子抜けとも言えます。

でも、この後も話が続くようですし、東が出てくるスピンオフだと思えばいいでしょう。

メインストーリーは、対馬で発生した事件をきっかけにした北朝鮮との関係。この手の話が好きな人にはたまらない展開です。

日本と北朝鮮は平和条約を結んでいません。ですから、いつ戦争状態に突入してもおかしくないというのは、多くの日本人が頭に置いていないことではないでしょうか。まあ、日本にはアメリカがついていますから、北朝鮮もむやみに手を出してくることはないでしょうが。

で、もう1つの目玉は刑事と公安の対立構造。

公安は国の安全に関わる業務、例えばテロとか違法取引を根こそぎ無くすのが仕事です。ですから、目の前で窃盗や殺人が行われても、大抵は関与しません。そんなものをいちいち追っていたら、メインのターゲットをいつまでも追えないからです。

今作ではそんな状態の公安の、ある捜査員の葛藤を目にすることになります。任務も大事だけど、目の前の事件は放っておいていいのか。こんな思考を体験できます。これは貴重でした。

塾でも似たようなところがあるんですよ。目の前の生徒の成績アップが第一なのに、塾のブランド作りのために高校や大学の合格実績、しかも上位校が何人か、というところにもこだわらなければいけません。そんなことが一瞬よぎりましたね。

そんな公安の捜査員と東。お互いに情報共有なんてもちろんしようとしません。でも目の前にある同じ事件を追っていて、自分の任務も大事で目の前の事件解決も大事。うーん、歯がゆい。

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ABOUT ME
さっさ
さっさ
塾講師。読書家。
1982年生まれ。愛知県一宮市の塾講師。読書量は年間100冊以上。勉強のやり方、自己啓発や心理学、ビジネスや哲学関連は読み尽くし、現在は小説が中心。読了記録を書き残しています。参考になればうれしいです。
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