【読了記録】燃えよ剣 上/司馬遼太郎(トシ、熱すぎるぜ。)
どうも、さっさです。
今回は司馬遼太郎の小説「燃えよ剣 上」読了記録。
読み終えたのは2021年9月9日。
読んだきっかけ
2021年10月15日に映画公開だと知って、読み始めました。
中学生の頃(この記事作成時点で39歳)に「るろうに剣心」にハマったついでに買ったものの、地名や役職といった用語が難しかったのと、人物が多くて把握できなかったのと、さらに司馬遼太郎の文体になじめず、投げ出してしまった後悔がずっとありました。
就職してからは、塾の先生をやっているのに、司馬遼太郎の歴史小説も読めないなんて情けないよな…とも思うようになって、後悔がより大きくなっていました。
20年以上たって、やっと読めました!
大まかなあらすじ
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。
文庫本裏表紙より
歳三が夜に女のところに行く場面からスタート。サッと読んでしまいましょう。
その後、策士・清河八郎、歳三のライバル・七里研之助の登場。
はしか・コレラといった流行病がきっかけで、江戸では300人の剣士を集めて浪士組を結成。京都へ向かいます。
江戸を出発する前に、土方歳三は刀・和泉守兼定を手に入れます。
その後最初のシーンで抱いた女と再会したり、七里と戦ったりしながら、時は流れていきます。
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池田屋事件で力を見せつけた新選組は、幕府にとって必要な存在に成長します。
その後、伊東甲子太郎という優秀な人物が新撰組に加入。近藤は伊東を好きだが、土方は嫌っていました。
一方、長州藩と薩摩藩は坂本龍馬の仲介で、薩長同盟を結びます。
このことは朝廷も幕府も新選組も、誰も知りません。
土方は七里たちとの戦いで傷つき、匿ってくれた家で「お雪」という女に出会い、恋をします。
ここで上巻は終了。
感想
・鉄の男、土方歳三が印象的。
新選組副長として隊の統率を重んじる日々。
歳三は「局中法度」という隊の決まりを作って、破った者はみんな切腹させました。
出身も剣の流派も思想も違う烏合の衆をまとめるためには、ルールを徹底的に守らせることが使命だと考えていたのです。
また、隊を緊張強化させるみんなが嫌がる軍令は、必ず歳三の口から告げられていました。
これは局長の近藤勇の人気を保って、隊がバラバラにならないようにするための配慮だと、歳三は言っています。
剣客集団である新選組をいかに強くしていくか、ということを徹底的に考え抜く姿勢に脱帽です。
学校や会社にもいますよね、こういう人。
個人の考えよりも全体最適を優先する感じ。
嫌われることが多いけど、組織には必要だという感じ。
僕はどう頑張っても、このタイプにはなれないので、ある種の憧れを感じます。
・近藤勇の出世欲も印象的。
はしかやコレラといった流行病がきっかけで江戸の道場は経営危機に陥ります。そこから、京都で警察のような役目をする浪士組の募集で採用されたことで食い繋いだ近藤たち。
以降、近藤は政治に興味がわいて行動します。
顔を白く塗って、公卿のような格好をするシーンがあります。
一橋(徳川)慶喜に直々に大阪城で声をかけられ、写真を撮ります。(慶喜は大阪城に来る大名の写真を撮って、それをお土産代わりにしていたそうです)
幕府に長州藩は危険だから征伐しよう、ということを幕府の要人を通じて伝えられる立場にまでなります。
近藤には「新選組でうまく結果を出して、あわよくば取り立ててもらって幕府で働きたい」という願望がありました。
現代の日本では「食っていける分のお金が稼げればいい」という若者が増えていると聞きます。出世しても大変なだけだから、というのです。昔ほど仕事一筋という考え方は、受け入れられにくくなっているのかもしれません。
僕には、一介の道場剣士である近藤が幕府を動かそうとする影響力をつけていくのを見ているのは、とてもワクワクしました。
まとめ
いかがでしたか?
長年読むタイミングを逃してきたので、読後の達成感がすごくあります。
内容的にも良かったですね。
「竜馬が行く」を読んだときにも思いましたが、幕末の時期の物語はやっぱり面白いです。
近藤と土方の生き様を見ていると、どこかエネルギーをもらえるような気がします。
下巻に向けては、戊辰戦争と新選組。土方とお雪の関係。こういったところが注目ですね。
映画も楽しみ。公式サイトで配役を見ていると、誰もがピッタリな人選と思います。
それでは、また。
「燃えよ剣 下」のあらすじと感想はこちら↓