13階段/高野和明(無実の男の命を救え!)
どうも、さっさです。
高野和明の小説『13階段』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。
読んだきっかけ
2024年江戸川乱歩賞の『フェイクマッスル』を読みました。これはこれで面白かったです。
ついでに乱歩賞の過去作を何か読んでみたいと探したところ、『ジェノサイド』が代表作の高野和明の『13階段』があるではあ〜りませんか。
『ジェノサイド』は名作ですからね。直木賞候補になった『踏切の幽霊』も面白かった。『13階段』もきっと面白いに決まっています。早速調べてみると、『13階段』は僕が好きな犯罪小説。うん、間違いない。
あらすじと感想
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。
文庫本裏表紙より
乱歩賞って新人作家に贈られる賞なのですが、『13階段』はその域を越えています。
高野和明の小説は『ジェノサイド』と『踏切の幽霊』を読みましたが、確かに比べるとゆったりと、分かりやすく描かれているところに新人感があります。
でも終盤のスピード感は面白いミステリー小説を読んだ時そのもの。
乱歩賞の選考時には宮部みゆきをはじめとする選考委員の皆さんが、満場一致でこの小説を推したそうです。
刑務官・南郷の哀愁もいい。いろいろあって刑務官を退職したいと思っています。その後はパン屋さんをオープンしたいとのこと。
なりたくてなったはずの刑務官。でも現場での過酷な経験からまた違う自分になりたいと願うのは、多くの人に共感を呼ぶのではないでしょうか。
気になるタイトルの「13階段」。元々は死刑囚が絞首台に登る時の階段の数らしいのですが、今回は死刑囚が思い出した階段の風景を探す旅という設定。
南郷と三上の捜査は難航を極めます。しかも三上は出所直後で、何か罪を犯してしまうとすぐに刑務所に戻されてしまうという制限付き。
両親はボロい家に引っ越しを余儀なくされ、弟は三上のせいで辛い人生を送っています。この辺りは東野圭吾『手紙』でも描かれていましたが、犯罪者の家族がいかに過ごしにくくなってしまうか、というのがよく分かります。
文庫本の表紙にはどこか洞窟のような場所の階段。既読者であればこの表紙を見ただけで、内容を思い出せるのではないでしょうか。僕はしばらく忘れない自信があります。それくらい印象に残る話でした。
乱歩賞はまだ数冊しか読んでいませんが、今後どれだけ読んでも『13階段』はベスト3にずっと入っている気がします。いつかこのブログでやりたいですね。さっさ的乱歩賞ベスト10。
それでは、また。