此の世の果ての殺人/荒木あかね
どうも、さっさです。
荒木あかねの小説『此の世の果ての殺人』を読みました。
第68回江戸川乱歩賞受賞作品です。
ネタバレ無しで振り返ります。
読んだきっかけ
定期的に巡回する近所の本屋で見つけました。
そこは入ってすぐのところに、小説やビジネス書の話題作が積まれています。この本は角の目立つところに平積みされていました。
「そういえば、江戸川乱歩賞ってあったな…」
スマホですぐに検索。
発表は5月にされていて、本の出版が8月24日とあります。
本屋に行ったのは8月23日。(出版と実際の発売日は異なるものです。)
「おー!!発売したばかりの乱歩賞!!」
すぐにAmazonでKindle本をポチりました。(本屋さん、いつも紙の本で買わずにごめんなさい。東野圭吾の本はこれからもそちらでちゃんと買いますから。)
そしていつも通り、Kindle Oasisで読みました。
あらすじと感想
小惑星「テロス」が日本に衝突することが発表され、世界は大混乱に陥った。そんなパニックをよそに、小春は淡々とひとり太宰府で自動車の教習を受け続けている。小さな夢を叶えるために。年末、ある教習車のトランクを開けると、滅多刺しにされた女性の死体を発見する。教官で元刑事のイサガワとともに、地球最後の謎解きを始める――。
Amazon商品ページより
場所は九州。
約2か月後に小惑星が地球に衝突することが分かっており、人々は避難したり、犯罪を犯したり、集団で自殺したりと、パニック状態です。
そんな状況で、小春はなぜか自動車の教習を受け続けています。
ある日、教習車のトランクを開けてみると、滅多刺しにされた女性の死体が見つかります。
教官は元刑事のイサガワ(なぜかこの人は常にカタカナ表記)。
地球滅亡が確定している中、2人は犯人探しを始めるのでした…。
評価
☆★★★★(星1つ)
うーん…。
殺人事件と地球滅亡のかけ算が何も生かされていません。
どちらのジャンルも、既に何冊か読んでいれば特に真新しいことはありません。
乱歩賞はだいたい新人作家が受賞するもの(かつて東野圭吾もデビュー作『放課後』で受賞)。
今回の受賞者である荒木あかねさんは23歳で、史上最年少での受賞だそうです。
新人作家が、ミステリーと地球滅亡をネタに、よくぞ最後まで書き切りました!
という感じで見れば、いいと思います。
でも、他の有名で面白い小説を基準に、「おぉ、どれどれ…」と読んでしまうと、全然面白くないです。僕はこのパターンで読んでしまいました。
真新しいことがないのです。
ミステリーだろうが地球滅亡だろうが、結局描かれるのは人間模様。
「金、権力、愛」のいずれかについて、いかに面白く、かつ読者を考えさせ、前に進むエネルギーとなるものが書けるか。
小説家の勝負ポイントはここなんです。
でもこの小説は、何かで見たような話の流れが、その通りに展開。
登場人物の内面の描写も軽く、サーッと過ぎていく感じ。
殺人事件の犯人が分かっても、地球滅亡の日が近づいてきても、気持ちが何も動きません(汗)。
ただ、どのタイミングで小説が終わるのか、というのは最後まで気がかり。地球滅亡まで行くのかどうか。
僕はそれだけをモチベーションにして、何とか最後まで読みました。
僕自身が、そろそろ小説を卒業する時が来ているのかもしれません。
結局アクシデントを乗り越える主人公。
書いてあるのは「金、権力、恋愛、家族愛」のどれか。
感動した小説にいくつか出会ったら、もう他のものは読まなくてもいい気持ちになります。
「スラムダンク」を見たから、他のバスケマンガが面白くない。
「ドラゴンボール」を見たから、他のバトルマンガが面白くない。
こういう現象が、小説でも起きてしまっています。
いったん違う趣味に行こうかな…。
まとめ
いかがでしたか?
今回は荒木あかねの小説『此の世の果ての殺人』の読了記録でした。
個人的には直木賞受賞作品に続いて、乱歩賞も空振り。面白くはありませんでした。
多分、作品のせいではありません。
僕が小説に楽しさや学びを見出せなくなってきているだけです。
本を読み過ぎた40歳男性の記録。
参考になればうれしいです。
それでは、また。