【読書記録】北緯43度のコールドケース/伏尾美紀
どうも、さっさです。
伏尾美紀の小説『北緯43度のコールドケース』を読みました。
ネタバレ無しの読書記録です。
読んだきっかけ
Xでフォローしている人の読了ツイートを見てピンときて即買い。
調べたら第67回江戸川乱歩賞受賞作なんですね。乱歩賞といえば新人作家の登竜門ですよ。
乱歩賞受賞作を読むのは荒木あかねの『此の世の果ての殺人』以来ですね。楽しみです。
あらすじと感想
博士号を持つ異色の警察官・沢村依理子。
Amazon商品ページより
北海道警察で現場経験を積む沢村は凍てつく一月、少女死体遺棄事件の捜査に加わる。
発見された少女は五年前に誘拐され行方不明となっていた島崎陽菜(ひなた)だった。
容疑者死亡で未解決だった事件は沢村を呑み込むように意外な展開を見せる。
本の帯で宮部みゆきと新井素子が絶賛していて期待が高まりましたが、実際に読んでみて気持ちがそこまで行かなかったです。
というのも、ここには男女差があると思っています。
この小説は女性作家が描く女性刑事の話。
色々読んで気づいたのですが、同じ刑事小説でも男性作家と女性作家では女性の描き方が違うんです。
この小説は主人公の沢村依理子が未解決事件に挑みながらも、不安や葛藤と向き合う場面が多く描かれます。上記の事件の捜査が進むのはKindle版でいうと66%からです。
この不安や葛藤と向き合っている沢村に、きっと多くの女性読者が共感するのだと思います。
僕みたいな男性読者としては正直物足りなくて、せっかく女性刑事が主人公ならもう少し色気が欲しいのが本音です。中盤まで沢村個人のことばかり描かれますが、「早く事件のことが進まんかなー」と思いながら読んでいました。
辻村深月とか乃南アサの小説も読みましたが、女性の内面の描写に多くのページを割くところが確かにあります。作中の女性がクヨクヨしていてなかなか話が進まない。それが僕にはじれったい。でも多くの女性読者にとっては、それが大共感という感じなのでしょう。
沢村の恋愛がちょこちょこ描かれますが、もう少しエロさがあって欲しいというか、さっぱりしすぎな印象です。
昨今、多様性を認めようという動きがありますが、男女間で受け取り方の差は間違いなくあると思います。特に性的なところについて。その違いでこの小説の評価は変わってくると思います。
確かに乱歩賞を受賞するだけあって、見事な小説です。個人的には『此の世の果ての殺人』を越えています。
事件は2転3転し、結末も他の小説にはなかった唯一のもの。ただ、沢村に色気が足りません。
この小説の評価は、事件の捜査が進み始める66%までの受け取り方次第と思います。そこからは一気読みですよ。間違いなく驚きの展開で、新人作家とは思えないものがありました。
気になったのは過去への飛び方が唐突なところ。
沢村の実家のことや大学院生の頃のことがあるのですが、なんだか急に飛ぶ感じがあります。一応、飛ぶ前はそれっぽい文が書いてあって、数行空いていて区切りはあるのですが、僕の頭がなんかスムーズに飛べない。
ある程度読み進めると「あ、なんか時空がおかしい」と気づくところが複数ありました。この辺りの分かりにくさは、これから何冊か書いていくことで磨かれるところかな、と。僕の老化?やだなー。
まとめ
いかがでしたか?
今回は伏尾美紀の小説『北緯43度のコールドケース』の読書記録でした。
この本を読めてよかったです。刑事小説はいくつも読んでいますが、オンリーワンのものと思います。警察内部のことも違和感がなく、とても新人作家とは思えないくらいスムーズでした。
この小説、『数学の女王』という2作目があるみたい。どうしよっかな。
それでは、また。
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