【読了記録】M8/高嶋哲夫(東京直下型地震発生)
どうも、さっさです。
高嶋哲夫の小説『M8』を読みました。
読了記録を残します。
あらすじと感想
28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ…。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。
「BOOK」データベースより
2024年元日に能登半島地震が発生しました。マグニチュード7.6、最大震度7の大地震でした。隆起した海岸線や被災地の映像はただただ恐ろしい。復興にはかなりの時間がかかることと思います。
この小説では、マグニチュード8の地震が東京を襲います。
研究者・瀬戸口の発信。でも動けない東京都、日本政府。このくだりがなんとも歯がゆい。
目の前に深刻な事態が訪れないと、人間は動けないもの。
特に政治家は、防災対策が選挙で勝てる材料にならないのを知っていますので、本当に予算を割いた対策というのはされていないのが通例。
お偉いさんたちに相手にされない瀬戸口を見ていると、なんともやりきれない気持ちになります。
実際に関東地方には50〜150年の間隔で巨大地震が発生しています。
中学校の歴史の教科書にも出てくる1923年の関東大震災から、すでに多くの時間が流れています。
この小説は、東京に大地震がいつ起こってもおかしくない、と警鐘を鳴らしています。
結局、小説内では19000人以上の犠牲者が出ることになります。
さらに恐ろしいのは、生き残ったものに襲いかかる二次災害。
電気がつかない暗さや寂しさ、食糧難。
水も止まりますから、用を足したいだけで、高層ビルのトイレに行列を作らなければなりません。
阪神・淡路大震災の時にもあったそうですが、崩れかけた家に侵入しての窃盗。
遠方で地震が起きると、つい現地の知り合いに「大丈夫?」と連絡してしまいがちですが、現地では通信障害が発生しているので、連絡がつかないことがあります。
さらに、電気が通っていないのでニュースも見れない。真っ暗なところでじっとしているしかないのだそう。読んでいてなるほど、という場面でした。
都内は緊急車両しか通れないようになっていますが、阪神・淡路大震災の時には、偽の通行証やコピーが出回って、救急車両の通行に大きな支障が出たそうです。
石油やLPGガスが入っているまんまるのタンク、分かりますかね?あれが爆発の危機に陥るのが、この小説の後半の見どころ。
大地震の後は火災が恐ろしい。関東大震災の時にも火災旋風というもので何万人もの人が亡くなったそうです。
海外からの救援の申し出。日本にとってはありがたい話ですが、多くの人に来てもらっても言葉・宿泊場所・食べ物などの面倒をどうやって見るのか、という問題があります。
とまあ、そんなこんなで主人公・瀬戸口を追いかけながら、地震の恐ろしさや現在の平和のありがたさを噛み締めていきます。
ただ、1箇所だけミスかな?
美輪子という女性が娘・裕子になんとか再会する、心温まるシーンがあるのですが、やっと会えたところで裕子が「男の子」という表記になってしまっています。
その後は女の子に戻るのですが、なぜ再会の時だけ男の子になってしまったのか。ミスかな?
まとめ
いかがでしたか?
今回は高嶋哲夫の小説『M8』の読了記録でした。
僕、阪神・淡路大震災の時は小学6年生でした。当時アパートの5階に住んでいまして、朝5時46分に震度4で飛び起きた記憶、いまだに深く残っています。
5階の震度4は強烈ですよ。
自然の力には逆らえない。
この手の小説や映画でいつもそう思わされます。
だからこそ、今を真剣に楽しむ。そうやって生きたい。
それでは、また。
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