【読了記録】Q/呉勝浩
どうも、さっさです。
呉勝浩の小説『Q』を読みました。
あらすじと感想をネタバレなしで書き残します。
青字をタップするとAmazonの商品ページに行けます。気になったらチェックしてみてください。
読んだきっかけ
『爆弾』の著者の新作、読むっきゃないでしょ!という感じ。
本屋で発見したのですが、681ページの大ボリューム。
小説は大体Kindle版で買うことにしているのですが、この小説は分厚いので迷うことなくKindle版で購入。
本屋さん、いつも見てるだけでごめんなさい。こうして本屋は潰れていくんだな。
ちなみに端末はkindle Oasisを使っています。
あらすじと感想
千葉県富津市の清掃会社に勤める町谷亜八(ハチ)は、過去に傷害事件を起こし執行猶予中の身だ。ようやく手に入れた「まっとうな暮らし」からはみ出さぬよう生きている。唯一の愉しみは、祖父の遺したアウディでアクアラインを走ることだった。ある日、血の繋がらない姉・ロクから数年ぶりに連絡が入る。二人の弟、キュウを脅す人物が現れたというのだ。
Amazonの商品ページより
キュウにはダンスの天賦の才があった。彼の未来を守るため、ハチとロクは、かつてある罪を犯していた。折しも、華々しいデビューを飾り、キュウは一気に注目を集め始めたところである。事件が明るみに出ればスキャンダルは避けられない。弟のため、ハチは平穏な日々から一歩を踏み出す。
一方、キュウをプロデュースする百瀬は、その才能に惚れ込み、コロナ禍に閉塞する人々を変えるカリスマとして彼を売り出しはじめた。<Q>と名付けられたキュウは、SNSを通じ世界中で拡散され続ける。かつてない大規模ゲリラライブの準備が進む中、<Q>への殺害予告が届く――。
抗いようのない現実と、圧倒的な「いま」を描く。世界をアップロードさせる著者渾身の一作。
ダンスの天才・キュウ(町谷侑九・まちやたすく)と、彼に振り回される人たちの話です。
義理の姉である亜八(ハチ)とロクがキュウに関わる場面が多く登場します。
あらすじにはありませんが、この小説は2020年の設定。
そう、新型コロナが世界的に流行した年です。
マスクだの自粛だのありましたよね。さらにアベノマスクの配布やGo To トラベル、東京オリンピック延期といった、今となっては懐かしくもある時期の話です。
対面での芸能活動が難しい中、動画再生でバズろうとするキュウとその芸能事務所。
このビジネスの苦労が描かれる場面は、「そうそう、あの時は大変だった」と、きっと多くの読者の共感を呼ぶでしょう。
僕も当時の塾の状況を思い出しました。対面での授業ができずにzoomで各家庭とやり取りしていましたね。
1人の天才と、その彼に振り回される人たちの話なんですが、印象としては佐藤究『テスカトリポカ』、東野圭吾『虹を操る少年』に似ています。
Amazonレビューにも書きましたが、長編を読み切った達成感はあります。
ただ、3人姉弟のその後がもう少し見たかった。
「ここで終わるんかい」
と、不完全燃焼感があります。
動画でバズり始めたキュウ。
執行猶予中のハチの右往左往。
キュウを支え続けたロク。
やっと面白くなってきたところで終わってしまった感じがあります。
それがこの小説の良さだと思えばいいんでしょうが、僕はもう少し読みたかったですね。
『爆弾』が超絶面白かった人にとっては、多少の興醒めはあるかもしれません。タゴサク越えの強者はこの小説にはいません。
でも、別の楽しみ方はあります。
読んでいる最中には、日常にはまずいないであろう危なくて変な人が何人か登場します。
そんな人たちに自分の人生を重ねたり、知り合いに似ている人を探したりと、そういう思考を楽しむ小説と思います。
まとめ
いかがでしたか?
今回は呉勝浩の小説『Q』の読了記録でした。
Kindle版で読んだのですが、忘れないようにハイライトを60箇所もしました。
でも、この記事を書くときにはハイライトを見なくても内容がありありと思い出されて、一気に書き終えることができました。
それくらいの強い印象、独特の読了感がこの小説にはありました。
お気に入りの東野圭吾とは違った文体ですが、心地いいものがあります。
次作もきっと読みます。
それでは、また。