【読了記録】名もなき子/水野梓(「命」について考えさせられます。)
どうも、さっさです。
水野梓の小説『名もなき子』を読みました。
ネタバレ無しで振り返ります。
発行 2022年5月18日
読了 2022年7月18日
読んだきっかけ
著者の水野梓さんにTwitterでフォローしていただいた御縁で、前作『蝶の眠る場所』から読んでいます。
『名もなき子』は前作に続くもので、メインの登場人物は同じです。
勝手が分かっているから読みやすい。
あらすじと感想
テレビ局に在籍し、ドキュメンタリー番組の制作を手がける美貴。ある日、高齢者施設で不審死が相次いでいるとの週刊誌の記事が目に留まる。その後、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。書面には「何も生み出さない高齢者は『社会悪』だ」などと書かれていた。取材を進める美貴は、偶然の出来事から悟と名乗る青年とかかわるようになる。悟の生きてきた道程を知った美貴は、この国が抱える深い闇の存在に強い衝撃を受ける—-。
Amazon商品ページより
「何も生み出さない高齢者は『社会悪』だ」
これが、この小説の重要な問いかけです。
ちなみにアドラー心理学の『嫌われる勇気』でも、生産性のない老人と赤ちゃんには存在意義があるのか?という内容が描かれていて、印象に残ったのを覚えています。(この本では「確かに今は何もしていないが、存在自体が誰かにとっての癒しになっており、それが他者貢献である」と結論づけています。)
今の高齢者の皆さんによる、昔の頑張りのおかげで、食うと寝るのに困らない世の中になりました。
でもそんな高齢者たちが、現在では日本の医療費を押し上げ、財政を逼迫させているのではないか。そういったことが描かれています。
この小説では高齢者医療の他にも、貧困や家庭内暴力も扱っています。
重たくなってしまいそうな内容ですが、美貴が所属する部署のユニークなメンバーと、息子の陸(4歳)の軽いノリがいいバランスになっていて、読みやすいです。
著者が報道関係者なので、こうした社会的題材が得意であると思います。
まとめ
今回は水野梓の小説『名もなき子』の読了記録でした。
美貴たちが事件の真相に迫っていく中で、いろいろ考えさせられます。
良いテーマなので、学校の授業で話し合ってもいいと思います。
結論はなかなか出せませんが、考えることが大事、という感じですね。
それでは、また。