「クララとお日さま」[カズオ・イシグロ]あらすじ(ロボットと少女の友情物語。イシグロワールド全開。)
どうも、さっさです。
今回はカズオ・イシグロの小説「クララとお日さま」のあらすじをお伝えします。
ネタバレ無しです。
2021年3月2日単行本発行。
6年ぶりの新作長編で、ノーベル文学賞受賞後、初めて出版された作品です。
物語は人工知能を搭載したクララと、病弱な少女ジョジーの出会いから別れまで描かれます。
クララのことは、作中ではAF(人工親友)と表現されます。お店でジョジーがクララを選ぶのです。
クララは最新のB3型ではなく、B2型。旧型なので臭いは分からないものの、優れた観察力と、学習意欲を持っていて、その点は最新型にも引けを取らないものでした。太陽光をエネルギーにして活動します。
作中の表現は全てクララの目を通してのもの。それが「です・ます」調で最後まで続きます。
クララはジョジーのAFとして、何があってもジョジーにとっての最善を考え続けます。
現実のAIには、まだそこまでの機能はありません。今後もまるでAIが意思を持ったような言動をすることはないだろう、と言われています。
ジョジーの病状が悪化した時、クララはお日さまに助けを求めます。そういったところから、この本のタイトルになったのでしょうかね。
一方、ジョジーの母親にはクララを使ったある企みがありました。
ここが、我々に重要なテーマを投げかけている気がします。
命とは?倫理とは?と考えさせられます。
カズオ・イシグロの他の作品を見ると、現実にありそうな無さそうな世界を作り上げるのが得意なようです。
今回の物語の舞台は架空のアメリカ合衆国。アメリカっぽいんですけど、そうでもない描写があります。
カズオ・イシグロが作り上げた世界を楽しむ。
これがどの作品にも通じていえるポイントであり、「クララとお日さま」にも当てはまるところです。
まとめ
カズオ・イシグロの作品を初めて読んだ人は「結局何を言いたいのか」「テーマ・メッセージが分からない」と思うことがあるでしょう。
「1つの空想世界を丸ごと描く」
カズオ・イシグロの特徴はズバリこれですね。
空想世界の中に、今回の作品ではAI・格差社会・命といったテーマ、問いかけが盛り込まれている。そんな感じがします。