【読書記録】異人たちとの夏/山田太一
どうも、さっさです。
山田太一の小説『異人たちとの夏』を読みました。
ネタバレ無しの読書記録です。
読んだきっかけ
テレビで映画がやっていたので、原作小説も気になりました。
調べたら2024年4月19日に映画「異人たち」が公開されるんですね。海外バージョンで。
だから1988年の日本版が放送されたのだと思います。
久しぶりに映画に見入ってしまいました。風間杜夫が演じる48歳のバツイチ脚本家が、ふと浅草に行ってみると、12歳の時に亡くした両親と再会します。年下となった両親との時間を楽しみますが、そこが現実世界な訳がなく…という気になり過ぎる話です。
あらすじと感想
あの夏、たしかに私は出逢ったのだ。懐かしい父母との団欒、心安らぐ愛の暮らしに――。感動と戦慄の都会派ファンタジー長編。
Amazon商品ページより
妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは、幼い頃死別した父母とそっくりな夫婦に出逢った。こみあげてくる懐かしさ。心安らぐ不思議な団欒。しかし、年若い恋人は「もう決して彼らと逢わないで」と懇願した……。静かすぎる都会のひと夏、異界の人々との交渉を、ファンタスティックに、鬼気迫る筆で描き出す、名脚本家山田太一の独自の小説世界。第一回山本周五郎賞受賞作品!
小説の書き方って本当に自由なんだと思わされます。
中年の男「私」が異世界とどうやって行き来しているのか、という細かい話は置いておいて、とにかく両親との再会を喜びたい気持ちになります。
でもそこは現実世界では絶対ないわけで、何がどうなっているのかという思考のまま話は進みます。
また両親の人柄が最高。父親は片岡鶴太郎が演じていましたが、「あらよっと」という感じの江戸の言葉が似合い過ぎる寿司職人。母親は秋吉久美子が演じる爽やかでいい主婦、いい女。
もし両親が事故に遭わずに生きていたら、こんなに大事に思わなかったのかもしれない。久しぶりの再会だから、一緒にお酒も飲むし、キャッチボールをするのかもしれない。でも、これは現実ではない。
そこにはまさに「美しい悲しさ」がありました。
細かいことはさておき、僕も自分の両親のことを思い出しながら味わって読みました。
同じマンションに住むケイという女性もこの小説のキーポイント。
夜になると私たちしかいなくなるのよ、と言ってシャンパンを持って私の部屋を訪れます。映画では名取裕子が演じていました。
僕みたいな中年男性にとっては夢のような設定の小説ですよ。いい女が急に近寄ってきて、さらに浅草に行けば亡くなった両親に会えるんですから。
これが現実世界じゃなくてもいい。この時がずっと続いてくれたらと願います。
でもやっぱりそうはいかず、私の体に異変が。
やつれている、とケイがいうのです。両親に会いに行っているのが原因らしい。
でも両親との時間が楽しくて、なかなか訪問をやめられない私。
この後、一体どうなってしまうのか。
一方、マンションの管理人からの一言で、ケイには衝撃の秘密があることが発覚します。
こちらもこの後どうなってしまうのか。
この小説は恋愛に家族愛にホラーの要素もあります。
小説と映画では、ケイに関する結末が違います。映画には特殊演出になんと500万円かかっているそうですよ。
まとめ
いかがでしたか?
今回は山田太一の小説『異人たちとの夏』の読書記録でした。
この小説は188ページと、お手軽サイズ。それでいて抜群に面白い。最近の色々詰め込みすぎな映画やドラマも面白いですが、こういうシンプルなものもいい。
海外版の映画がバズるかは分かりませんが、日本版は小説も映画も見ておいて損はありませんよ。おすすめです。
それでは、また。
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