【読了記録】テロリストのパラソル/藤原伊織
どうも、さっさです。
藤原伊織の小説『テロリストのパラソル』を読みました。
ネタバレ無しの読了記録です。
この本はAmazonのKindle本をネットサーフィンしていたら見つけました。
乱歩賞と直木賞を受賞しているので、内容はもちろん面白いのですが、驚くべきは値段。
たったの316円。
2000円弱ほどする直木賞候補作品を疑いながら読むよりも、遥かに価値があります。
あらすじと感想
ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。死傷者五十人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋の付いたウイスキー瓶を残してしまう。テロの犠牲者の中には、二十二年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとする――。小説史上に燦然と輝く、唯一の乱歩賞&直木賞ダブル受賞作!
「BOOK」データベースより
ジャンルはハードボイルド。
暴力的、反道徳的なことを主観を交えず、客観的に記すというジャンル。
島村は元ボクサー。ヤクザや女との絡みを見せつつ、爆弾テロ事件の真相に迫っていきます。
いやあ、面白い。
時間に融通がきくバーテンが、手がかりをたどりながら真相に近づいていくことに目が離せません。
あっちこっち伏線だらけのミステリーとかもしも系のラノベなんか読む暇あったら、これを読め、という感じです。
最近、読書熱が冷めていました。
直木賞の候補作品を全部読んで順位をつけたら、まさかの最下位が受賞。
乱歩賞作品を読むも、面白くなくて、ブログを書くために何とか読了するといった始末。
そんなしけた読書生活でした。
でも、探せば面白い小説がまだまだあるじゃないか。
そう思わせてくれた作品でした。
「ハードボイルド」というジャンルがいいのかもしれない。
正直、ミステリーもSFも時代小説もラノベも読みすぎて飽きていました。
結局全部、財産や権力、愛憎の争いを眺めているだけだからです。時代と場所(時には近未来とか異世界)が違えど、本当に結局同じ話なのです。
古典や哲学も読み漁った結果、お金と権力に興味がなくなってしまいました。このスタンスだと、例えば池井戸作品が急に面白くなくなります。お金や権力争いに熱心な人、あとは高級品に価値があると信じている人を見ると引いてしまうくらいの境地に達したのです。
ハードボイルドもそうじゃん、って言えるかもしれないですけど、主人公がエログロしながら進んでいく感じがいいですね。他のジャンルとは全然違います。「性」と「暴力」の描写が今は心地いい。
「24」のジャック・バウアーを見ているような。「プリズンブレイク」のマイケル・スコフィールドをみているような。そんなスリリングな感覚。
僕みたいに、なんか最近の小説は面白くないなあ、という人。
もしかしたら、この小説が転機になるかもしれませんよ。
それでは、また。