競争の番人/新川帆立(月9ドラマ原作を読んでみたらイマイチでした)
どうも、さっさです。
新川帆立の小説『競争の番人』を読んでみました。
ネタバレ無しの感想を書き残します。
先に謝っておきます。
新川ファンの人、ごめんなさい。
読んだきっかけ
ネットで調べていたら、2022年7月から放送されている「競争の番人」を見つけました。
自分の感覚を鈍らせないために、定期的にドラマや映画の原作小説を読んでいます。
話題の新川帆立さんが書いた小説が原作だと知って、即ポチ。
アメリカ生まれ。東大法学部卒、大学院も卒業して現在は弁護士。
こんなハイスペックすぎる人が書いた小説とは、どんなものなのか。
興味津々で読んでみました。
あらすじと感想
公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー!
Amazon商品ページより
評価 ☆☆★★★
公正取引委員会で働く女性が頑張る話。
…それだけでした(汗)。
☆1つにしなかったのは、月9ドラマになったという点と、働く女性を描いているという点の評価です。
キャラもストーリーも新鮮味が無く、まるで池井戸作品の二番煎じを読んでいるかのようでした。
新川帆立は『元彼の遺言状』が有名なんですよね。
でもAmazonレビューを見たり、本屋でチラ見した感じでは「買うほどではないなあ」と思っていました。
調べてみると、新川作品は総じて、法律関係の難しい内容を、エンタメ要素で身近に感じてもらう試みがされています。
「小さいものが巨悪を倒す」という構図は池井戸作品と同じ。
でもどこか軽い。面白くはない。
決定的な差があるとしたら、「人」です。
池井戸作品が面白いのは、登場人物の描写が深いところにあります。だから主人公を応援したくなったり、敵役への憎悪が生まれたりします。巨悪が最終的に倒れる結末が分かっていても、涙が出てくるのです。
でも新川作品の場合は、「人」の描写が軽い。この小説では一応、父親を失った娘が登場しますが、どうも小説を成り立たせるために登場させた感じがしてしまって、感情移入できません。
主人公とその相棒も、個性的ということはありません。この2人の間にもう少し恋愛要素があれば、違った印象になったと思います。
月9ドラマは見ていませんが、もし僕が脚本家だったら、この2人をもう少し近付けては遠ざけて、視聴者をヤキモキさせます。そうしないともちません。
それくらい作中では、恋愛にドライな感じで進んでいきます。
もしかしたら新川さん自身が、あまり恋愛にどっぷりなタイプではないのかもしれませんね。
あるいは逆にどっぷり過ぎて、そっちに振ってしまうと法律の話がかすれてしまうから、小説ではあえてドライに書いているかです。
どっちなのか興味深い。
まとめ
今回は新川帆立の小説『競争の番人』を読了記録でした。
多分もう新川作品を読むことはないです。
池井戸作品との比較で、頭の中にあるものをそのまま書かせてもらいました。
新川ファンの人、ごめんなさい。
『半沢直樹』に燃えて、『ノーサイドゲーム』に泣いた僕みたいに、池井戸作品が好きな人には、正直物足りないと思います。
「法律を中心としたエンタメ」
これが魅力だと思えれば、きっと面白く読めるのでしょう。
法学部の学生とか法律関係者には興味深いと思います。作中でも触れてますけど、公正取引委員会の話って、マイナー過ぎてほぼありませんからね。
それでは、また。
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