【読了記録】同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬(第二次大戦中のソ連で女性狙撃手が舞う!)
どうも、さっさです。
逢坂冬馬の小説「同志少女よ、敵を撃て」を読みました。
史上初、選考委員全員が5点満点をつけた、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作
最強の宣伝文句に釣られて、買いました。
結果、正解でしたね。
2022年4月に本屋大賞1位にも輝きました。ロシア・ウクライナ問題がリアルタイムでニュースになっているところとつながりますね。
あらすじ
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?
「BOOK」データベースより
少女セラフィマは、母親と鹿の狩りをしていました。村へ帰ろうとした時、ドイツ軍がやってきて、村人を虐殺。母親を殺されてしまいます。
セラフィマはソ連の赤軍に救われます。同じ女性のイリーナについて行って、狙撃兵になることを決めたのです。
母を撃ったドイツ軍のイエーガー、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐すること。
これがセラフィマの生きる目的になりました。
以降は訓練の様子、同じ女性狙撃手たちとの出会いと別れ、戦場でのセラフィマ、揺れる心。目的を果たすために、セラフィマは実際の戦場に身を投じます。
その果てには…。
巻末には選評員たちによる、他の候補作品も含めた総評が収録されています。
感想
平和ボケした心を奮い立たせてくれます。
日本は平和です。報道番組で見るのは、東京で雪が降ったとか、新しくオープンした飲食店、芸能人のスキャンダル、新しい映画やドラマの宣伝…。考えてみればどうでもいいことばかりです。世界では年間10000件ものテロ事件が発生しているのに、日本ではほとんど報道されません。日本は平和過ぎなのです。
作中では、拷問や殺人、死体を埋葬せずに焼き払うということが当たり前です。支援物資が届かなくて、しばらくまともな食事をしていないという場面もあります。
また、セラフィマたちは女性であるというだけで、狙撃手としてどんなに優秀でも、男性の兵士にバカにされます。
こうした現代の日本ではあり得ない状況が、心を打ちます。
「死」がすぐ近くにある。
そういう体験が、この作品を読むことによってできます。
本屋大賞に輝いた作品は映画化されるのが定番ですが、この作品はどうでしょう。残虐な表現があったり、どんどん人が死んでいくので。これまでの受賞作品とは特色が違いますね。