【読了記録(読書感想文のコツ有り)】その扉をたたく音/瀬尾まいこ
どうも、さっさです。
瀬尾まいこの小説『その扉をたたく音』を読みました。
2022年読書感想文全国コンクール高等学校の部の課題図書です。
今回は読書感想文を書くためのポイントもお伝えするので、内容のネタバレをします。未読の方は要注意。
発行 2021年2月26日
読了 2022年8月12日
読んだきっかけ
https://www.dokusyokansoubun.jp/index.html
これです↑
塾講師として、書き方に悩む参加者のサポートをしたい!ということで、読んでみました。
高等学校の部でKindle版があるのがこれだけだったので、この本にしました。小説やマンガで紙の本はもう出来るだけ買わないようにしています。本棚がすぐに一杯になってしまうので(汗)。
塾で長年国語を担当しています。読書感想文の書き方で悩む人の参考になればと思います。
あらすじと感想
音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。29歳、無職。ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。
Amazon商品ページより
29歳無職のダメ男、宮路。父親がやり手の資産家で毎月20万円を仕送りしてもらって生活しています。
ギターでお金を稼ぐことを夢見ていますが、大学を卒業して7年、その夢は実らないままなまけています。働かなくても毎月20万円入ってくるので、もはや働く気も起きません。
ある日、高齢者の施設でサックスを吹く渡部を見て開眼する宮路。そして入居者との触れ合いもあって、宮路の人生は大きく変わり始めます。
読書感想文を書くときのポイント
・読む時に自分の気持ちが動いたところをチェックしておく。
優先して書くといいのは、自分の心の底からわいてきたもの。
良い作文を書こうと思った途端に、全く書けなくなります。作文を読む他人のことは一切考えずに、自分の気持ちを優先しましょう。(まあ、これは普段の生活でも同じです。他人の気持ちを優先しすぎるのは、健康によくありません。)
この本で僕がわいてきたのは、
「29歳で無職の宮路」
今まで何をしてたん?この先、親のお金が無くなったらどうするの?自分はこんなふうになりたくない。
「なかなか実らない夢」
夢を持つのはいいけど、モタモタしすぎ。ミュージシャンなら、例えば何か有名な曲を弾いてみた動画をYouTubeにアップするとか、早く行動しようよ。将来の夢なんか、今叶えようよ。30代以降、神経の衰えで手先が思うように動かせなくなったり、曲のコードが覚えられなかったり、新しい発想が生まれにくくなるんだから!
「サックスが超うまいのに、収入が少ない介護士を続けている渡部」
就職時に介護士を選択する勇気(薄給激務。福祉職は総じて収入が少ない。)がすごい。宮路が感動するレベルのサックス奏者なのに、何もマネタイズしていない。「お金」に執着がない渡部の凄さ。これが本当の幸せ?。ここから「幸福感」について展開すれば、僕の場合は文字数を稼げます。
「91歳の入居者・静江の死」(ネタバレ)
宮路を「ぼんくら」と罵り、毎週買い物をリクエストしてこき使っていた静江の死。これで宮路は就職活動を再開。やっと自分の人生を動かします。死に際に書かれた静江から宮路への手紙に僕は号泣。高齢者の死から、まだ若い自分の生きる意味、将来やりたいことやなりたい自分を強烈に考えさせられます。40歳の僕でも、この点については原稿用紙3枚くらいサクッと書けそうな気がします。この本を読んで感想文を書こうとしている高校生であれば、盛りだくさんになり過ぎて、文字を削らなければならないかもしれませんね。
この本は量が少ないので、気になったところを全部メモして立ち止まって考えても、割と早く読めます。
・スマホかタブレットのメモアプリで下書きをする。
応募要項は原稿用紙5枚(2000字)以内。この量を手書きでいきなり整った文章で埋めるのは難しい。
大人でも難しいですよ。2000字という量がどれくらいなのか分からないです。何をどれだけ書けるか想像もできないです。
高校生ならスマホの所持率はほぼ100%だと思います。まずメモアプリで下書きをしましょう。大きい画面で眺めたいなら、タブレットの方がいいでしょう。
書いたメモをメッセージアプリの本文にコピペ(iPhoneなら「設定→メッセージ→文字数」で設定できます)すれば、文字数をカウントすることもできます。誤って送信しないように気を付けてください。
毎年塾で、夏休みに作文を書く中学生のサポートをしていますが、だいたいいきなり原稿用紙を目の前にしてアレコレ悩んでいます。そして時間をかけてせっかく書き上げたものを全消しして最初からやり直すなんて、よくあることです。原稿用紙が汚れたり破れたりするんですよね。
時間と労力、そして原稿用紙がもったいない。
スマホなら漢字の変換もスムーズだし、文字の修正や文章の入れ替えが圧倒的に速い。
とりあえず浮かんだことを、何も気にせずにバーッと書いていきましょう。ひと通り書けたら、書く順番とか、より伝わる言葉を考えていきます。
動画、ゲーム、SNSへの熱中で、勉強の時には悪者になりがちなスマホ。でもこの時は大きな味方になってくれます。
・ガチで入賞を狙うなら、少数派になって書くべし。
この本を読むと、「夢」「仕事」「人生」「死」あたりの思考が浮かんでくると思います。
でもそれらは、きっと他の人も同じことを考えています。
作文の添削をしているのでわかるのですが、出揃ったものを見ていくと、みんなだいたい同じことが書いてあるのです。
その中で一際目を引くのは、みんなが書いていないこと。
例えば今回なら、
「29歳で無職、いいじゃん。働かなくてもお金があるって勝ち組」
「ミュージシャンの夢なんか叶わなくてもいいじゃん。どうせいつか死ぬんだし」
「渡部のサックスの才能がもったいない。介護士は給料が安いんだから、サックスでマネタイズしようよ」
「静江の死について何も思わない。そもそもみんないつか死ぬ」
といった感じです。
「お金」「夢」「仕事」「死」について、あえて少数派で書いてみる。
そうすると、読む人の目を引くのは間違いありません。
それが感想文として優れていると思われるかは、ぶっちゃけ運ゲーです(汗)。
そのときの審査員の状況によります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は瀬尾まいこの小説『その扉をたたく音』の感想と、読書感想文を書くときのポイントをお伝えしました。
長年の塾講師経験で、作文に苦労する生徒を毎年見ています。
少しでも応援になればと思います。
役に立ったと思ったら、ぜひこの記事を拡散してください。
それでは、また。